父と三鷹オスカー。
昨年11月末に父が永眠した。数年前から動脈瘤を患っていたのだが、長年の喫煙から併発した肺気腫のために麻酔が掛けられず手術が出来なかった。そのため食事と生活全般に気をつけて過ごして、このところは体重も増えていた。だから、まだしばらくは大丈夫だと思っていたのに、あっさりと逝ってしまった。動脈瘤は破裂すると悶絶する痛みがあるそうだが、幸いにもそれはなかったのが救いだった。 続きを読む »
傑作『ハッピーフライト』!
先月、釜山国際映画祭に招待された際に、いち早く『ハッピーフライト』を観た。ただし、自作『おろち』を差し置いて他人の作品に言及するのははばかれたので、今まで黙っていたのだが『ハッピーフライト』は傑作だった。欲を言えば綾瀬はるかさん(『ほん怖』ではお世話になりました!)の後半での活躍シーンが欲しかった。でも、これだけ粋で楽しくてスリルがあってスケール感もあって、さらに映画的躍動感に溢れた日本映画は観たことがない。むろん、『ウォーターボーイズ』も『スウィングガールズ』も面白かった。だけど、やっぱりこの2作はこぢんまりとしていた。一転して『ハッピーフライト』はハリウッドの良くできた娯楽大作に匹敵するエンターテインメントだ。まあ、そこまでお金は掛かっていないにしても、見終わった後はとても贅沢で幸福な気分になった。ひとえに矢口監督の努力と才能のたまものだろう。そして、それを実現させたアルタミラピクチャーズの桝井プロデューサーの仕事にもただただ感服するばかりだった。 続きを読む »
『おろち』製作裏々日誌(3)

門前家ホールの奥。こんな所まで作り込んであったが映画には写らなかった。残念。
ところで、撮影準備が進んでいく中で監督が脚本家の書いた本に手を入れることは映画の現場では多々あることだ。その事情は様々だが、『おろち』の場合は予算とスケジュールのために私が書き直すことになった。スケジュールにはめるためにシーンを減らして、その分、他のシーンの台詞や芝居を加筆するといった具合である。実はおろちが佳子にスイッチするテラスのシーンも高橋さんの脚本では原作通りに廊下を舞台にした室内シーンだった。おろちが床に落ちた自分の影を気にして歩くうちに佳子になっていく。しかし、これを屋外にしないとスケジュールがはまらない。そこで私が改稿をはじめたのだが、谷村美月という折角の逸材が演じるのに影を気にして歩いているだけではもったいない気がしてきたのである。 続きを読む »
『おろち』製作裏々日誌(2)

立て込み中の門前家ホール。
私はこの企画のオファーを受けて直ぐに『何がジェーンに起ったか?』を見返した。また、ビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』も思い浮かべたのでこれも直ぐに見返した。しかしそれ以後、この2作を見返すことはなかった。映画『おろち』の姉妹の心理は『何がジェーンに起ったか?』の姉妹のそれよりも複雑で参考にならなかったからだ。また『サンセット大通り』は大女優役のグロリア・スワンソンの立ち居振る舞いや、執事役のエリッヒ・フォン・シュトロハイムの静かな存在感に、門前葵や執事の西条のイメージをなんとなく掴ませてくれたが、それ以外はあまりにも贅沢すぎる映画でこれも参考にならなかった。結局、脚本の打ち合わせの最中もこの2作が話題に上ることはほとんどなく、常に一番参考になったのは楳図さんの原作そのものだった。
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『おろち』製作裏々日誌(1)

『おろち』にエキストラ参加してくれた友人が、映画の冒頭に登場する門前家の門(福島県猪苗代・天鏡閣)にわざわざ出かけて撮影。
『おろち』公式サイトからリンクが貼られて以来、毎日すごい数のアクセスがある。ただ、訪れる人は「製作裏日誌」と「キャスト・スタッフ紹介」を覗くだけで、この「寝言」のページに来る人はほとんどいない。おそらく、このページに来る人は鶴田によほど興味がある方か、『おろち』をよほど気に入ってくださった方だけだろう。そこで、そんな方々のために私の自信作『おろち』について今まで口にしなかったことをここに記そうと思う。要は私の映画オタクぶりを披露するだけになりそうだが、きっと映画『おろち』を更にディープに楽しんでいただけると思う。



