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朝日新聞出版の原作漫画『HONKOWA』は、新作満載の判型の大きいものと、過去作も載せる「ASスペシャル」の2種類が2ヶ月に1回発刊。

今回のフジテレビ『ほん怖』の放映で私、鶴田法男がドラマの多くを監督していたこと、また、1991年に私が原作の実写化を企画し、OV(ビデオ専用映画)として発売したのが発端だったことを知った方も多いようでありがたく存じます。
なお、朝日新聞出版の原作漫画『HONKOWA』は、新作満載の判型の大きいものと、過去作も載せる「ASスペシャル」の2種類が2ヶ月に1回出てます。
最新号はこちらです。詳しくは下記URLを。
#ほん怖 #ほんとにあった怖い話 #HONKOWA #朝日新聞出版
https://publications.asahi.com/category/comic.html

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フジテレビ『ほん怖』、鶴田法男演出作品全リスト。

フジテレビ『ほんとにあった怖い話 夏の特別編2025』をご覧頂きありがとうございました。
私は1991年に朝日新聞出版(旧・朝日ソノラマ)の同名コミックを実写ドラマ化するOV版(ビデオ専用映画)『ほん怖』を企画から立ち上げました。
それが1999年からフジテレビのドラマに発展し、メイン監督としてずっと撮り続けてきました。
今、フジテレビ版の自分の演出作だけをリストにしてみたら120作品(2作品は共同演出)ありました。
現在、フジテレビ版は220作品あるということですので、半分以上を私が撮ってきたことになります。
ですが、私は新たなステージに挑戦をしたく2016年を最後に現場から退いています。
これからもフジテレビ『ほん怖』は続くと信じております。
今後は、1999年の1作目から参加している三宅隆太監督や、私の助監督を長年努めてくれた森脇智延監督他が撮り続けてくれると思います。
今後もフジテレビ『ほん怖』をどうぞよろしくお願いします。
なお、現在の私が力を入れている角川つばさ文庫の『恐怖コレクター』、『呪ワレタ少年』他の小説。
そして映像作品では、昨年、CWFさんのご助力でデジタルリマスター版の公開が実現した『亡霊学級』(原作:つのだじろう)、中国に招かれて監督した『戦慄のリンク』などが配信中です。
これらの私の仕事にもご注目を頂ければ幸いです。
#ほん怖 #ほんとにあった怖い話 #フジテレビ

綾瀬はるかさんと『ほん怖』との歴史は意外と古いです。『怨みの代償』。

【ほん怖トリビア⑥】
今年のフジテレビ『土曜プレミアム・ほんとにあった怖い話 夏の特別編2025』(16日、21:00~23:10)で放映される『怨みの代償』(演出:鶴田法男 脚本:三宅隆太 出演:綾瀬はるか、市川由衣、入山法子)は、2009年の『10周年スペシャル』で放映された作品です。つまり、佐藤健さん主演『顔の道』と同じ時に放映されました。この4年後に日本が誇る世界の巨匠、黒沢清監督の『リアル~完全なる首長竜の日~』(2013年)で綾瀬はるかさんと、佐藤健さんのお二人が共演されていて感慨深く思いました。
さて、フジテレビ『ほん怖』も今年で26年になるので様々な作品を放映してきましたが、この『10周年スペシャル』の頃は、「幽霊が怖い」作品を皆さんにお届けしていました。これは、フジテレビ版の前身になるオリジナルビデオ版『ほん怖』(91~92年)の時から変わりません。それは私が小学校3年の時に幽霊を見た記憶があることに起因しています。(詳細下記)。ですから、「人間が怖い」からひきおこる本作は異色作でした。
https://cowai.jp/jhorror/10204/

 
さて、綾瀬はるかさんと『ほん怖』との歴史は意外と古いです。2003年放映の『春の恐怖ミステリー ほんとにあった怖い話』の中でえなりかずきさん主演『闇からの電話』の助演で出演してもらったのが最初で、その翌年、2004年にレギュラーシリーズ化された際に『横断歩道奇譚』に主演してもらい、そして本作で3度目の出演でした。ありがたいことに、この3本共に私の演出でした。
『闇からの電話』の時は新人さんでしたから、私が芝居を付けないと戸惑っている時がありました。ですが、『怨みの代償』の時は、私が何も言わなくても的確な芝居をしてくれて感心することしきりでした。
また、体調を崩して不眠になってしまう展開なので、中盤からは「やつれメイク」をしています。これは、ご自分がメイクさんと相談をして自主的にやっていたことでした。実は、事前の打ち合わせで「やつれメイク」をお願いするのを私はすっかり忘れてしまったのですが、このシーンの撮影の時にこのメイクで現場に来てくれたので大変に感謝しました。
ところで、この作品は「神奈川県」のテロップが出ますが、実際は「三越千葉店」でロケをしています。残念ながら同店は2017年に閉店しているので、千葉にお住まいの皆さんは懐かしく思われるでしょう。
それと、最後は明治神宮前駅の出入り口付近でロケをしています。あそこに映っている通行人はすべてエキストラさんです。『ほん怖』の大元は私が企画から立ち上げた超低予算のオリジナルビデオ(ビデオ専用映画)でした。オリジナルビデオの時は、人通りの多い町中で撮影する場合、「盗み撮り」をしてました。つまり、町の人からクレームが付いたり、場合によっては警察が来てしまうこともあるわけなのでヒヤヒヤで撮影をしていたものです。しかし、フジテレビ『ほん怖』では、撮影許可をしっかり取って、通行人役のエキストラさんに来てもらい落ち着いて撮影していたのでありがたかったです。
なんで、こんなことを書いているのかというと、実は、オリジナルビデオ版『ほん怖』の製作会社JHV(ジャパンホームビデオ)がこの明治神宮前駅の目の前にあったからです。フジテレビのロケでこの周辺をよく使うので、たまたまここでロケしたのですが、撮影中に「『ほん怖』のオリジナル版を作った会社は直ぐそこだよ」とスタッフに話したことを思い出しました。JHVは別場所に移転しましたが、オリジナルビデオ版は数年前にDVDが再販されたので以下にご案内しておきます。
https://youtu.be/CK4GGuuU99E?si=dySZ3X2LTF2qPc2W

 
フジテレビ『ほんとにあった怖い話』公式サイト
https://www.fujitv.co.jp/honkowa/index.html

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岡田将生さんという優れた役者さんが主演を引き受けてくれたので、「この演出ができる!」と思った『右肩の女』。

【ほん怖トリビア⑤】
『土曜プレミアム・ほんとにあった怖い話 夏の特別編2025』(16日21:00~23:10)で放映される『右肩の女』(演出:鶴田法男 脚本:穂科エミ 出演:岡田将生、蓮佛美沙子、窪田正孝)は、2012年の作品。
いま、メインキャスト3名のお名前を書いていて、あまりに豪華すぎるのでちょっと手が震えました(笑)。当時、既に人気の皆さんでしたが、今はそれに拍車を掛けて活躍されてますから本当に素晴らしいです。
フジテレビ『ほん怖』は1999年の記念すべき1作目から「怖いホラー」を作ることを最大のテーマにしていましたが、最後の話だけは「感動系」にして後味を良くしようというコンセプトで取り組んできました。
しかし、ある時期から、「変化球」と関係者が呼ぶ「ちょっと笑える作品」も加わることになりました。人気の高い『犯人は誰だ』(14年/出演:草彅剛、北乃きい)や『悪夢の絵馬』(16年/出演:バカリズム)などが好例ですが、その「変化球」を定着させた決定的な作品がこの『右肩の女』でした。
原作漫画は怖くはないけど面白い体験談だったのでドラマ化したいとプロデューサーと話し合って、テレビドラマの経験が無い若い作家さん達にプロット(あらすじ)を書いてもらいコンペを行いました。その中で圧倒的に面白かったのが小劇場演劇界で活躍する穂科エミさんのプロットでした。
それを脚本に仕上げてもらってキャスティング作業に入ったわけです。結果として前述の豪華なキャスティングを成し得たのは、ひとえに脚本の出来が良かったからです。
脚本の出来が良いと準備も順調に進みますし、監督である自分のアイディアも盛り込みやすくなります。
前半のレストランのシーンで「え? 幽霊?」と思わせる演出や、寝ていた利也(岡田将生)がスマホと間違えて寝ぼけて黒い財布を手にしてしまう芝居などは私の思い付きで盛り込んだものです。
また、悪夢の描写で利也の上に女の幽霊が乗っていることにしたは、スイス人画家フュースリーの18世紀の有名な絵画「夢魔」のオマージュをやりたかったからです。
このショットは岡田将生さんの上に幽霊役の女優さんが単に乗っているように見えるかもしれません。しかし、そんなことをしたら岡田さんが苦しくて芝居が出来ませんから、実は岡田さんの身体に合わせた台を美術部に作ってもらい、それを目立たないように工夫して女優さんに乗ってもらっています。事前の準備の時に思い付いたので出来たことでした。
それと、大学の教室に女の幽霊が現れるシーンも単純なようで実は非常に難しいことをやっています。文字で説明しても理解してもらえないので省きますが、ひとつだけハッキリ言えるのは岡田将生さんが同じ芝居を何度も繰り返してくれたので出来たことでした。岡田将生さんという優れた役者さんが主演を引き受けてくれたので、「この演出ができる!」と思った次第です。
それと、クライマックスの霊能者と利也の会話と、真実(蓮佛美沙子)と利也の会話が交錯するシーンも、実はかなり難しい演出をしています。これは私の大好きなブライアン・デ・パルマ監督(『ミッション:インポッシブル』、『アンタッチャブル』ほか)の演出に影響を受けてます。
優れた脚本と一流の出演陣、それに優秀なスタッフが揃っていると技術的に難しい演出を構築できるという好例になっていると思うので、映画やドラマの演出に興味がある方はその辺りも注意してご覧になってみてください。
https://www.fujitv.co.jp/honkowa/index.html

 
ところで、『右肩の女』から『ほん怖』に参加した穂科エミさんは、その後、レギュラー作家になっており、先述の『犯人は誰だ』や『悪夢の絵馬』の他、私が2016年に現場から卒業した後も、『影女』(17年/主演:杉咲花)、『視線の出処』(23年/主演:中村アン)等などの優れた作品の脚本を担当しています。
また、2023年には舞台『呪怨 THE LIVE』の脚本も書かれています。
なお現在、下北沢駅前劇場で穂科エミ主催「はぶ談戯」による演出作『JULIO/フリオ』が上演されています。『パコと魔法の絵本』の後藤ひろひと氏のホラー戯曲を穂科エミ流の笑いを交えて演出していて楽しめます。
昨日の初日に行ったら『呪怨』シリーズの清水崇監督も来ていたので穂科さんを挟んで3ショット。17日(日)までの上演です。
http://hub-web.jp/

右肩の女 『ほん怖/右肩の女』の幽霊 CnPXouvUsAAlkwj 穂科エミを囲んでフリオ

稲垣吾郎さんが「これ1本でも見応え抜群の超大作だと思っています。」とおっしゃる『S銅山の女』製作裏話。

【ほん怖トリビア④】
16日(土)放映の『ほん怖』“最恐選”の中で稲垣吾郎さんが「これ1本でも見応え抜群の超大作だと思っています。」とおっしゃる『S銅山の女』(演出:鶴田法男 脚本:酒巻浩史 出演:石原さとみ、小池徹平、池田鉄洋)は、2014年の『15周年スペシャル』で放映された1作。
撮影終了後に美術部が監督の私にプレゼントしてくれた小道具を保管してあるのでお見せしますね。今、見るとなんだか大人気YouTuber作家の雨穴さんに似ているような……(笑)
また、ロケハン写真も公開します。坑道の中の写真に飛んでいる白い物がオーブに見えるかもしれませんが、単なる水滴やホコリです。
それにしても、この裏話を書くために、久しぶりに作品を見返しましたが、我ながら超コワいですね(笑)
ジェームズ・キャメロン監督の傑作『エイリアン2』みたいな『ほん怖』を一度作ってみたかったのです。その念願がかなった作品でした。
逃げ場のない坑道を舞台にするというのもありますが、主人公が「死ぬかもしれない場所に、使命感で戻っていく話」という作品です。
主演の石原さとみさんの的確な演技力と魅力、小池徹平さんと池田鉄洋さんの見事な助演で、非常に盛り上がる作品に出来たと自負しています。
実は、この原作の体験談は少し昔のことらしく、実際の炭鉱は現在、綺麗に整備された公園になっているそうです。そんなこともあり、ロケをしたのは埼玉県の炭鉱で、あの名作『フラガール』のロケ地でもありました。
少しスタッフの紹介をしておくと、キャメラマンが2000年の『ほん怖2』以来、要所要所の作品で力量を発揮してくれている川村明弘さんでした。『顔の道』も川村さんが撮影しているので、葉っぱ越しの常に誰かが覗いているような怪しい雰囲気のショットなどがとても似ていると思います。
また、美術に2004年のレギュラーシリーズを担当後、一度『ほん怖』から離れていた渡部哲也さんが戻ってきてくれた作品でもありました。私は幽霊に風を当てるのが常なのですが、渡部さんはその風の当て方が本当に巧みなのです。ですから、時には撮影に何時間もかかってしまう幽霊ショットが、本作ではあっさりと撮り終わってしまったのをよく覚えています。
それに、フジテレビ『ほん怖』を長年編集してくれている深沢佳文さんが巧みに編集をしたので、当初はCG等を使う予定だった幽霊描写もアナログな方法で面白く描けています。
その他、当時、最高峰の『ほん怖』スタッフが集まっていました。
そして、石原さとみさんほか、素晴らしいキャストが揃っていたので、坑道の中でのいささか危険で面倒な撮影も難なく乗り切れました。
それから、『幽惑ドライブ』、『血ぬられた旅館』の他、私の『POV~呪われたフィルム~』、『悪霊病棟』などの作品で幽霊やゾンビばかりやってもらっている嶋﨑亜美さんが珍しく普通の看護師役で出演していることも『ほん怖』好きの方のチェックポイントかもしれません。
ただし、幽霊に追われているのにシートベルトを締めて車を発進する不自然さは地上波テレビドラマの限界と思って目をつむっていただきたく存じます。
https://www.fujitv.co.jp/honkowa/
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