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『事故物件 恐い間取り』、「怖い」から解放されて「面白い」を追求した娯楽ホラー映画の傑作!

『事故物件 恐い間取り』鑑賞。

「怖い」という呪縛から解放されて「面白い」をのびのびと追求した娯楽ホラー映画の傑作。

売れない芸人が不本意な仕事を引き受けたことから運良く成功。ささやかな恋も芽生えて順風満帆に思えたが、その仕事のせいで怖ろしいことに巻き込まれてしまう。
ハリウッド映画の定石とも言えるストーリー展開と、テンポの良い演出と芝居で最後まで一気に見せてしまう娯楽性が素晴らしいです。

中田秀夫監督ほか、関係者の皆さんに脱帽。

これはヒットして当然ですね。

『テネット』全米大ヒットスタートとのこと。映画館と映画作家を大切にしてくれるワーナー・ブラザース映画!

何度も公開が延期されてきた『テネット』が先週末から全米公開されて、大ヒットスタートみたいですね。

WB(ワーナー・ブラザース)は本作に限らず『ワンダーウーマン1984』などの新作を「劇場公開する」と宣言してますから、頼もしいです。

以下、大昔の話です。

東京都三鷹市で映画館を経営してきた、私の父は「三鷹大映」、「三鷹東映」と邦画の封切館(※参照)を営んでいましたが、70年代にそれが行き詰まり、1977年から名画座「三鷹オスカー」を始めました。

洋画上映も、名画座としての運営も初めてですから、冷たくあしらってくる洋画メジャーもあった中でWB日本支社は色々と便宜をはかってくれました。

当時、名画座にほとんど出していなかった『レッド・ツェッペリン/狂熱のライブ』や『エクソシスト』を新参者のうちの劇場に出してくれたのです。

結果、三鷹の商店街に観客が行列を作る大ヒットになり、名画座「三鷹オスカー」を大衆に認知してもらうことが出来ました。

WBは映画館を大切にしてくれる映画会社だと思っています。

しかも、WBはキューブリック、イーストウッド、そしてノーランなどの作家を大切にする社風もある。

WBにはとにかく頑張っていただきたいと常に願っております。

※「封切館」というのは、新作映画を最初に上映する劇場です。

脚本家、桂千穂さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

脚本家、桂千穂さんのご逝去の報を受けた。

6年前、2014年6月22日の自分の投稿の通りの事情で、ご自宅にお邪魔して親しくお話をさせていただいた。この後、あらためてご連絡を頂いたので再度お邪魔したこともある。

アニメ『幻魔大戦』の裏話や、大林宣彦監督との関係、企画倒れになった『大魔神』のリメイクなどなど、私が子供の頃から憧れを感じていた映画業界のあれこれについてあらためて勉強させていただいた。

話の流れの中で祖父が旧・大映撮影所所長だった鶴田孫兵衛であるとお伝えしたら、「そりゃ、君に才能があるのは当たり前だ。映画をしっかりやりなさい」ともおっしゃっていただいた。直接の仕事の付き合いはなかったようだが、祖父のことをご存じでちょっと嬉しかった。4年前、中国映画界から誘いを受けたので「中国に行ってホラー映画を撮ってきます」と年賀状に記したら、「それは素晴らしいけど、相変わらず日本映画界の目は節穴だね。君のような才能を中国に行かせてしまうなんてね」とお言葉を頂いた。ありがたかった。帰国後、中国映画の撮影現場の様子を土産話にご自宅にお邪魔しようと思っていたのだが、ついつい時間が過ぎてしまい今日になってしまった。葬儀は近親者で済まされたとのこと。

本当に残念です。ありがとうございました。心よりご冥福をお祈りいたします。

以下、2014年6月22日、鶴田法男Facebookの投稿。
https://www.facebook.com/norio.tsuruta/posts/718747751539546

アニメ『幻魔大戦』、大林宣彦監督『HOUSE ハウス』、『ふたり』、市川崑監督『女王蜂』などの脚本家・桂千穂さんが私を褒めてくれているとある出版編集者から教えられて、慌ててお礼の手紙を送ったら肉筆で「貴兄のクレイジーなファンです」という返信をいただき思わず目が潤み、その後、『Z~ゼット~果てなき希望』の試写にご来場くださり、気が付いたら昨日は桂さんのご自宅にお邪魔していました。まったく夢のような怒濤の展開です(^^)。桂さんは脚本家を引退されているのですが、いまだ映画関係の本など出されているので、それをちょっぴりお手伝いするはずだったのですけど、後半は書庫に案内されてAVラックに綺麗に並んだ2000枚を超えるというLDとDVDのジャケットを眺めつつ映画談義をさせていただきました。まさに至福の一時です。何を話したかは私だけの宝物ですからここには記しません。写真の赤と黄のデザインの本は最近出版された桂さんが偏愛する映画を紹介するムック本です。わがままな内容で面白いです。私の『リング0~バースデイ~』、『案山子/kakashi』も取り上げていただきました。
それで『Z~ゼット~果てなき希望』に関して「面白かった。あのアイパッチの娘が良いね。ああいう娘がバッタバッタと悪霊をやっつける作品を作りなさいよ」とお言葉をいただきました。ありがとうございます。去年のTVドラマ『悪霊病棟』はそのコンセプトだったのですが、とにかくそのお言葉をいただけただけで深く感謝するばかりです。

桂千穂さんと2014年

2014年6月22日、桂千穂さん(右)と私(左)。桂さんのご自宅前で。

桂千穂カルトムービー

桂千穂さんの著書。鶴田の『KAKASHI/案山子』や『リング0』を賞賛してくださいました。

 

フランソワ・トリュフォー『華氏451』は凄い!

コロナ禍と猛暑と、それとは無関係の問題で気力が下がり気味に。
買い物があってショッピングモールに行ったらワゴンセールでDVDがどれも500円。ディスクがAVラックから溢れている最近はなるべく買わないようにしているのだけど、やはりそこは性分であさってしまい見つけたのがフランソワ・トリュフォーの『華氏451』。
子供の時にテレビで見て面白いと思わなかったので、それっきりになっていた作品。
トリュフォー自身が「失敗作」とか「主演のオスカー・ウェルナーがわがまますぎてうまくいかなかった」とか言っていた記憶があったのでそれも再見から遠ざけてました。
で、締め切り目前の仕事があるので、家に帰って昼食をとりながら冒頭だけ見て止めるつもりだったのだけど、見始めたら止まらなくなってしまった。
相当にすごい映画だと思う。どこがどうすごいかの詳細を書き出すときりが無いのですが……。
本作はブラッドベリのSF小説の映画化で、書物が禁じられた未来社会の物語。
で、人間はテレビや写真、文字の無い漫画などから知識や情報を得ているわけですけど、主人公の家に置いてあるテレビは50型くらいの16:9かビスタサイズのワイドテレビなのです。
それで、このテレビが家庭と双方向で繋がっている。
1966年製作だからまだカラーテレビでさえ普及していない頃ですからね。原作未読なんですが、ブラッドベリの小説に既にこういった描写があったようですね。
あと、トリュフォーらしい実験的演出が横溢しているのだけど、その中でも目を見張るのが「逆回撮影」。映画の中では逆回動作が日常なのに、主人公のオスカー・ウェルナーが本を読むことに目覚めてしまうと逆回での動作が出来なくなってしまう。生粋のシネフィル、トリュフォーらしい発想で、最高です。
クリストファー・ノーランの新作『テネット』の「逆回撮影」が『華氏451』から何かしらヒントを得ているのか、それとも全く違うコンセプトなのか、そこを考えながら『テネット』を鑑賞する楽しみも増えました。
それと、ジュリー・クリスティに明確な理由もなく二役をやらせているのも凄い。
あと、未来感のあるモノレールですね。登場するモノレールはフランスで作られた試験線なので今は存在していないそうだけど、日本の「湘南モノレール」と「千葉都市モノレール」はこの発展型とのこと。
SFとしてはゴダールの『アルファビル』に通じる感じがあるのだけど、製作日誌が書籍になった『ある映画の物語』を読むとやはり『アルファビル』を意識している感じはありますね。準備中にゴダールがトリュフォーの宿泊先に遊びに来てたとも製作日誌に書いてあるし。
電子書籍で『ある映画の物語』が売られていたので、これもつい買ってしまいました。
余談だけど、ジャン・ルノワールの傑作『ゲームの規則』は初公開時は全く不評で興行も惨敗だったというのを初めて知りました。
『ある映画の物語』は、締め切り目前の原稿を書き終わったらじっくり読みます。
ということで、トリュフォーの『華氏451』のおかげでかなり元気になりました。
さて、仕事を頑張らないと!

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映画『ようこそ映画音響の世界へ』と、20年前に鶴田法男が撮った『怪談百物語/雪女』の意外な関係!

ヒットしても私が儲かるわけではないのですが、『ようこそ映画音響の世界へ』が8/28より上映中です。

20年近く前、フジテレビ『怪談百物語』の一遍『雪女』(演出:鶴田法男/主演:竹中直人、松雪泰子、萩原聖人)の音の仕込みに立ち会っている時に、「雪女が起こす吹雪の音が物足りない」と言ったら音響効果さんがちょっと考えて動物の鳴き声の録音テープを引っ張り出してきたので、「何をするんだろう?」と見てたら、吹雪の音にライオンの咆哮を混ぜたのでした。「ええ?」と思ったけど、再生してみるとこれがバッチリな迫力増量で「効果音とはこういうことなのか!」と目からうろこが落ちました。

『ようこそ映画音響の世界へ』の中で、『トップガン』の音響効果ウーマン、セス・ホールが「ジェット機の音にライオンの咆哮を混ぜた」と種明かしをしたところで、20年前を思い出してつい笑ってしまいました。

本作は、そんな技術的な話だけでなく、セス・ホールが映画会社の重役から「音は重要じゃ無い」とクビになったのに、その逆境を乗り越えてアカデミー賞にノミネートされたなんて痛快な証言も出てきます。
映画作りそのものがドラマチックな映画なのです。大変に面白いドキュメンタリーですよ。

ところで、こんなことを書いていたら、松雪泰子さんの雪女があまりに美しすぎて監督の私がクラクラしたことを思い出しました。それに、テレビドラマなのに凄い美術でした。『地獄門』、『鬼龍院花子の生涯』等の日本映画美術の巨匠、故・西岡善信さんの会社の制作でしたから、出来た技でしょう。それと、私が準備段階で、西岡善信さんの古巣である大映の雪女映画『怪談雪女郎』(監督:田中徳三/主演:藤村志保)のオマージュ的な作品を作りたいと言ったので、力を入れてくださったのかも知れません。私の『雪女』はDVDレンタルもされていますが、今はほとんど見かけませんね。テレビドラマはなかなか見てもらえる機会が無いのが残念です。

話がすっかりそれましたが、少しでも映画に興味があるなら『ようこそ映画音響の世界へ』は絶対にお薦めの映画です。