稲垣吾郎さんが「これ1本でも見応え抜群の超大作だと思っています。」とおっしゃる『S銅山の女』製作裏話。
【ほん怖トリビア④】
16日(土)放映の『ほん怖』“最恐選”の中で稲垣吾郎さんが「これ1本でも見応え抜群の超大作だと思っています。」とおっしゃる『S銅山の女』(演出:鶴田法男 脚本:酒巻浩史 出演:石原さとみ、小池徹平、池田鉄洋)は、2014年の『15周年スペシャル』で放映された1作。
撮影終了後に美術部が監督の私にプレゼントしてくれた小道具を保管してあるのでお見せしますね。今、見るとなんだか大人気YouTuber作家の雨穴さんに似ているような……(笑)
また、ロケハン写真も公開します。坑道の中の写真に飛んでいる白い物がオーブに見えるかもしれませんが、単なる水滴やホコリです。
それにしても、この裏話を書くために、久しぶりに作品を見返しましたが、我ながら超コワいですね(笑)
ジェームズ・キャメロン監督の傑作『エイリアン2』みたいな『ほん怖』を一度作ってみたかったのです。その念願がかなった作品でした。
逃げ場のない坑道を舞台にするというのもありますが、主人公が「死ぬかもしれない場所に、使命感で戻っていく話」という作品です。
主演の石原さとみさんの的確な演技力と魅力、小池徹平さんと池田鉄洋さんの見事な助演で、非常に盛り上がる作品に出来たと自負しています。
実は、この原作の体験談は少し昔のことらしく、実際の炭鉱は現在、綺麗に整備された公園になっているそうです。そんなこともあり、ロケをしたのは埼玉県の炭鉱で、あの名作『フラガール』のロケ地でもありました。
少しスタッフの紹介をしておくと、キャメラマンが2000年の『ほん怖2』以来、要所要所の作品で力量を発揮してくれている川村明弘さんでした。『顔の道』も川村さんが撮影しているので、葉っぱ越しの常に誰かが覗いているような怪しい雰囲気のショットなどがとても似ていると思います。
また、美術に2004年のレギュラーシリーズを担当後、一度『ほん怖』から離れていた渡部哲也さんが戻ってきてくれた作品でもありました。私は幽霊に風を当てるのが常なのですが、渡部さんはその風の当て方が本当に巧みなのです。ですから、時には撮影に何時間もかかってしまう幽霊ショットが、本作ではあっさりと撮り終わってしまったのをよく覚えています。
それに、フジテレビ『ほん怖』を長年編集してくれている深沢佳文さんが巧みに編集をしたので、当初はCG等を使う予定だった幽霊描写もアナログな方法で面白く描けています。
その他、当時、最高峰の『ほん怖』スタッフが集まっていました。
そして、石原さとみさんほか、素晴らしいキャストが揃っていたので、坑道の中でのいささか危険で面倒な撮影も難なく乗り切れました。
それから、『幽惑ドライブ』、『血ぬられた旅館』の他、私の『POV~呪われたフィルム~』、『悪霊病棟』などの作品で幽霊やゾンビばかりやってもらっている嶋﨑亜美さんが珍しく普通の看護師役で出演していることも『ほん怖』好きの方のチェックポイントかもしれません。
ただし、幽霊に追われているのにシートベルトを締めて車を発進する不自然さは地上波テレビドラマの限界と思って目をつむっていただきたく存じます。