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『アニエスの浜辺』とスパニッシュ・ホラー『エル・ゾンビ』の関係。

アニエスの浜辺

アニエスの浜辺

現在、岩波ホールで公開中の『アニエスの浜辺』の配給を手掛けるザジフィルムズの志村社長と先日、10数年ぶりに食事をした。私は大学を卒業してHRSフナイという船井電機のビデオメーカーに勤めていたのだが、その会社を辞める二ヶ月ほど前に入社してきたのが志村氏だった。ギャガへの転職が決まっていた私の仕事を彼が引き継いでくれたものの、彼もその翌年にフナイを辞めてザジフィルムズを立ち上げて今日に至っている。
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この夏、三鷹オスカーにタイムスリップした。

小型の35mm映写機とスクリーンを持ち込んで即席の映画館になった三鷹産業プラザの貸し会議室。座席は普通の椅子だったので堅かった。でも、それがかえって座り心地の悪かった三鷹オスカーの座席を思い起こさせた。

小型の35mm映写機とスクリーンを持ち込んで即席の映画館になった三鷹産業プラザの貸し会議室。座席は普通の椅子だったので堅かった。でも、それがかえって座り心地の悪かった三鷹オスカーの座席を思い起こさせた。

 『ほん怖』の仕事が忙しくてすっかり時間が経っての報告だけれども、7月末、久しぶりに三鷹で映画を観た。三鷹駅近くの三鷹産業プラザで行われた「優秀映画鑑賞推進事業35mmフィルム上映会?みたか DE CINMA」でのこと。上映されたのは小津安二郎監督の『麦秋』、『彼岸花』、『東京物語』の三本。その日は仕事があったので『麦秋』一本しか観られなかったが、この映画鑑賞にはなんとも不思議な気分にさせられた。これが新作映画だったり、ビデオ上映だったりしたらこんな気分にはならなかっただろう。この三鷹の地で古典的名作が35mmフィルムで三本立て上映されているのである。『麦秋』が投影されているスクリーンが、否が応でもありし日の三鷹オスカーのスクリーンとダブった。綺麗な上映会場だったのに、私はいつしかトイレの匂いが漂ってくる薄汚れた場内へとタイムスリップしていた。郷愁、感慨、そんな言葉では言い表せない気持ちがこみ上げた。「三鷹オスカーの息子」にとってはこれ以上ない素敵な時間だった。
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三宅隆太の映画監督デビュー作『呪怨 白い老女』を観た。

 今年で10周年になるテレビ『ほん怖』を第一回目から主に脚本で支えてくれている三宅隆太くんとは、かれこれ16、7年の付き合いになる。大学生だった彼に「ファンなんです」と、あるパーティで声を掛けられたのが出会いである。まだJホラーどころか心霊ホラーという言葉さえもない時代だったから、私は大いに励まされた。黒沢清監督、高橋洋さんらがビデオ『ほん怖』を賞賛しているのを知ったのはその後のことだから、私にとって三宅くんは鶴田作品の最初のファンで最大の理解者だった。その後、彼は私のホラー作品を真似た自主映画を何本か創って見せてくれてプロの映画作家として活動したいと言ってきた。そこで、1999年に『ほん怖』のテレビ化の話が持ち上がったときにフジテレビに紹介をして参加してもらうことになった。また、鶴田の短編ホラーの中でも最も満足する一本である池脇千鶴主演『学校の怪談/何かが憑いている』の脚本も書いてくれた。その他、映画『案山子/KAKASHI』の脚本にも協力してもらったし、私が『怪談新耳袋』の依頼を受けたときもプロデューサーに紹介をした。そんな事情で三宅くんには失礼ながら、私にとってはなんとなく弟子のような存在に感じてしまうのである。ただ、それだけにそろそろ彼の一本立ちの映画が観たくてしょうがなかったのだが、それがやっとかなった。
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トキワ荘記念碑の除幕式に行った。

満開の桜の下、漫画業界の方が多数列席されていた。

満開の桜の下、漫画業界の方が多数列席されていた。

 先日、トキワ荘の記念碑「トキワ荘のヒーローたち」の除幕式に行ってきた。と言っても招待されたわけではなく、旧友に誘われて単に見学しに行っただけである。私はそれほど漫画好きというわけではないが、やはり手塚治虫を筆頭に赤塚不二夫、石森章太郎、藤子不二雄らの作家の作品には当然親しんでいる(私が子供の頃は、「石ノ森章太郎」ではなかったし、「藤子・F・不二雄」と「藤子不二雄A」でもなかった)。それに、トキワ荘に通っていた“通勤組”のつのだじろうさんの『亡霊学級』をビデオ映画として映像化し、『恐怖新聞』は『予言』のタイトルで映画化もしている。つのださんと話をしている際にトキワ荘の話題が上ったこともあった。だから、トキワ荘にはそれなりの思い入れがあったのでこの除幕式にちょっと興味が湧いたのだ。
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8年ぶりの“ゆうばりファンタ”。

男気がたぎるブロンソン、2大傑作『狼の挽歌』と『狼よさらば』の看板

男気がたぎるブロンソン、2大傑作『狼の挽歌』と『狼よさらば』の看板

 “ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009”に“オフシアター・コンペティション”の審査員として参加してきた。自作『案山子/KAKASHI』がこの映画祭に出品されたのが2001年だったから、8年ぶりの夕張だった。はじめて訪ねたときにまず魅了されたのが、街の至る所にある復刻された昔懐かしい映画の看板の数々。私が訪れて以後、市の財政破綻で映画祭も一時中止になったのであの看板たちの行く末を心配していたのだが、元気に健在していたので嬉しかった。8年前には気づかなかった大好きなチャールズ・ブロンソンの2作品を見つけたので写真をパチリ。『狼の挽歌』は日曜洋画劇場が初見なので公開時の看板の記憶が無いのだが、『狼よさらば』は学校帰りの渋谷で“渋谷宝塚”(この劇場の跡地にQ FRONTがある)に看板が掲げられていたのをよく覚えている。あの時のワクワクとした気分がこの北の地で30余年ぶりに蘇った。シネコンの発展でこういう手書きの看板が無くなってしまったのが寂しい。
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