寝言

この夏、三鷹オスカーにタイムスリップした。

小型の35mm映写機とスクリーンを持ち込んで即席の映画館になった三鷹産業プラザの貸し会議室。座席は普通の椅子だったので堅かった。でも、それがかえって座り心地の悪かった三鷹オスカーの座席を思い起こさせた。

小型の35mm映写機とスクリーンを持ち込んで即席の映画館になった三鷹産業プラザの貸し会議室。座席は普通の椅子だったので堅かった。でも、それがかえって座り心地の悪かった三鷹オスカーの座席を思い起こさせた。

 『ほん怖』の仕事が忙しくてすっかり時間が経っての報告だけれども、7月末、久しぶりに三鷹で映画を観た。三鷹駅近くの三鷹産業プラザで行われた「優秀映画鑑賞推進事業35mmフィルム上映会?みたか DE CINMA」でのこと。上映されたのは小津安二郎監督の『麦秋』、『彼岸花』、『東京物語』の三本。その日は仕事があったので『麦秋』一本しか観られなかったが、この映画鑑賞にはなんとも不思議な気分にさせられた。これが新作映画だったり、ビデオ上映だったりしたらこんな気分にはならなかっただろう。この三鷹の地で古典的名作が35mmフィルムで三本立て上映されているのである。『麦秋』が投影されているスクリーンが、否が応でもありし日の三鷹オスカーのスクリーンとダブった。綺麗な上映会場だったのに、私はいつしかトイレの匂いが漂ってくる薄汚れた場内へとタイムスリップしていた。郷愁、感慨、そんな言葉では言い表せない気持ちがこみ上げた。「三鷹オスカーの息子」にとってはこれ以上ない素敵な時間だった。

 私はこの上映会を主催する(株)まちづくり三鷹から招待されての鑑賞だった。この会社の職員の方が当サイトの三鷹オスカーの記述をご覧になって連絡をくれたのである。ありがたいことに三鷹市民の中には三鷹オスカーのような名画座の復活を望む声があり、この三鷹市の第三セクターはコミュニティシネマ(市民映画館)を開館できないかと模索している最中だそうだ。名画座の激減と共に名作や旧作をフィルムで観られる機会がすっかり減ってしまった現在、これは大変に有意義なことだと思う。最近の映画はテレビ画面が大きくなっただけの様なものが多いが、本来の映画は劇場の空間で最大限の魅力が発揮できるように作られていた。作り手たちはそこに心血を注いでいたのである。だから、映画の本質は映画館でなければ分からないし、そんな映画の醍醐味を今の若い人にも体感してもらいたい。市民運営の映画館は全国にぽつりぽつりと出来ているが、そんな劇場がもっと出来てかつての名作を映画館で観られる機会が増えれば日本映画の更なる向上、発展に繋がると思う。まずは、(株)まちづくり三鷹と三鷹市民の方々に頑張っていただきたい。ちなみに、来年3月にも同様の上映会を三鷹で予定しているそうなので、ご興味のある方は是非、足を運んで欲しい。

※(株)まちづくり三鷹↓
http://www.mitaka.ne.jp/

ここがかつて三鷹オスカーのあった場所。「寝言」の2006年9月5日「三鷹オスカーの息子」に掲載した写真とほぼ同じアングルで撮影した

ここがかつて三鷹オスカーのあった場所。「寝言」の2006年9月5日「三鷹オスカーの息子」に掲載した写真とほぼ同じアングルで撮影した

コージーコーナー」を見ていたら、うちの劇場が場所を貸していた「好味屋」さんの菓子パンやサンドイッチ、それにソフトクリームの味を思い出した。当時は中央線沿線に何店舗も出店していたが、いまも下記で頑張っているようで嬉しい。 http://koumiya9904.blog85.fc2.com/ http://30min.jp/place/57442

コージーコーナー」を見ていたら、うちの劇場が場所を貸していた「好味屋」さんの菓子パンやサンドイッチ、それにソフトクリームの味を思い出した。当時は中央線沿線に何店舗も出店していたが、いまも下記で頑張っているようで嬉しい。
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http://30min.jp/place/57442