『ほん怖 傑作選』:『赤い服の女』解説。
18日(土)『夏の特別編2018』放映を前に、Twitterのほんとにあった怖い話[非公式]さんが、各ローカル局の『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップを投稿されていたので、それを基に私、鶴田法男の演出作品ほかについて、「思い出話」や「裏話」など記しておきます。
今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。
フジテレビ『ほんとにあった怖い話 傑作選』公式サイト ←こちら
【傑作選情報】
テレビ新広島 8/15(水)26:00〜26:55
◆『赤い服の女』(2004年)
演出:鶴田法男 脚本:田村孝裕 出演:富岡涼、雅子
【解説】2004年のレギュラーシリーズの撮影に入って最初期の頃に撮影した作品。主演の富岡涼くんは残念ながら引退をしてしまったらしいです。
ですが、本作に関しては、赤い服の女を演じてくれた雅子さんについて特筆しておきたいです。雅子さんは、記念すべき1999年の『ほん怖』の『オープニング』(主演:池脇千鶴)でも赤い服の女の幽霊を演じてくれています。でも、なんといっても映画『リング』シリーズで山村貞子の母・志津子を演じた役者として雅子さんは世界の映画ファンにこれからも未来永劫記憶されるでしょう。
なぜ、こんな書き方をするのかというと、雅子さんは2015年1月に50歳の若さで不治の病で鬼籍に入られたからです。モデル業の傍ら、雑誌に映画紹介の連載をしたり、映画祭の審査員を努めたりした大変なシネフィルでした。2012年11月に東京・三鷹市で開催された「第3回 三鷹コミュニティシネマ映画祭/鶴田法男特集」の『リング0』上映のゲストで来ていただき思い出話に華を咲かせたのがお会いした最後になってしまいました。
あらためてご冥福をお祈りいたします。
「第3回 三鷹コミュニティシネマ映画祭/鶴田法男特集」レポート ←雅子さんがゲストで来場。
◆『姿なき従業員』(2004年)
演出:三宅隆太 脚本:高木登 出演:前田亜季
◆『供養の礼』(2004年)
演出:星野和成 脚本:清水達也 出演:佐藤めぐみ
◆『駐車場の夜』(2004年)
演出:三宅隆太 脚本:玉城悟 出演:岡田義徳
◆『最期のメッセージ』(2004年)
演出:星野和成 脚本:新田隆男 出演・黒木メイサ
【解説】上記の4作についてはまったくノータッチだったのでコメントは有りません。
『ほん怖 傑作選』:『憑かれた家』、『うしろの女』、『部屋に棲む者』、『心霊写真』解説。
18日(土)『夏の特別編2018』放映を前に、Twitterの「ほんとにあった怖い話[非公式]」さんが、各ローカル局の『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップを投稿されていたので、それを基に私、鶴田法男の演出作品ほかについて、「思い出話」や「裏話」など記しておきます。
今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。
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【傑作選情報】
- テレビ愛媛 8/15(水)14:55〜15:50
- 仙台放送 8/16(木)15:50〜16:50
- テレビ新広島 8/16(木)15:50〜16:47
◆『憑かれた家』(2003年)
演出:鶴田法男 脚本:三宅隆太、高木登 出演:ユースケ・サンタマリア、三浦理恵子
【解説】フジテレビ『ほん怖』は、私が1991~92年にかけて発表したビデオ映画『ほんとにあった怖い話』が基になっています。また、このビデオ版『ほん怖』シリーズは、後のJホラー作家、黒沢清監督、『リング』の脚本家・高橋洋氏、中田秀夫監督、清水崇監督らに多大な影響を与えた事から「Jホラーの原点」と呼ばれ、私が「Jホラーの父」と呼ばれるゆえんとなりました。このビデオ版『ほん怖』の中でも最も評価が高い作品が『霊のうごめく家』です。フジテレビ『ほん怖』の中心人物、後藤博幸プロデューサーもこの『霊のうごめく家』が大好きで、「テレビでリメイクしたいです」と言ってきたのが発端で、『憑かれた家』が誕生しました。原作は別の原作ですが、『霊のうごめく家』を意識して撮ったので似たような構図や演出が随所にあります。ビデオ『ほん怖』はDVDも廃盤ですが、下記で正規の動画配信がされているのでご興味ある方は覗いてみてください。
正式タイトル「ほんとにあった怖い話」で検索をしてください → ビデオマーケット

『憑かれた家』ロケハン写真。
◆『うしろの女』(2004年)
演出:鶴田法男 脚本:玉城悟 出演:長澤まさみ
【解説】これは『ほん怖』としてはかなり変化球な作りなのですが、長澤まさみさんの出世作である映画『世界の中心で愛を叫ぶ』が公開される前に出演されたので、貴重な作品になっていますね。
演出的にも全編を手持ちカメラで撮っているのが『ほん怖』としては珍しいです。当時の自分の恐怖演出の基本は「いかに空間を怖く見せるか」なので、手持ちカメラの常にぶれている画面では怖くならないと考えていました。ですから、三脚を付けた固定カメラ、動くときはレールやクレーンに載せてスムーズに移動させる、という絵のスタイルにこだわっていたのです。しかし、この作品はいわゆる「怖い」という演出よりも、いかに「日常」を切り取るかだろうと考えて、手持ちにしたわけです。面白く出来た作品だと思っています。
◆『部屋に棲む者』(2004年)
演出:鶴田法男 脚本:佐藤太喜 出演:高岡蒼甫
【解説】実は、この作品も『訪問者』と同様で、撮影当日にはじめて現場に行って役者さんと顔を会わせるという、随分と無茶なことをやりました。『訪問者』と違うのは、『部屋に棲む者』は事前に覚悟していたということですね。でも、ちょっとコミカルなタッチの面白い作品になったと思います。
◆『心霊写真』(2005年)
演出:鈴木雅之 脚本:三宅隆太 出演:山本耕史
【解説】昔、私が見た西ドイツのSF映画で宇宙人が次第に近づいてくるのを連続スチール写真で描くシーンが異常に怖くてトラウマになっていたので、いずれそれを応用してドラマを作ってみたいと思っていたのです。後藤プロデューサーと脚本の三宅隆太くんが打ち合わせている席で、その話をしたら「使わせてくれないか?」という事になり、「まあ、『ほん怖』の為ならば」ということで、それに見合った原作を探して三宅くんが脚本を書いたのでした。私の名前はクレジットされてませんが、まあ、サービスと言うことで…。
『ほん怖 傑作選』:『S銅山の女』、『腕をちょうだい』、『誘いの森』、『闇への視覚』解説。
18日(土)『夏の特別編2018』放映を前に、Twitterのほんとにあった怖い話[非公式]さんが、各ローカル局の『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップを投稿されていたので、それを基に私、鶴田法男の演出作品ほかについて、「思い出話」や「裏話」など記しておきます。
今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。
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【傑作選情報】
- 東海テレビ 8/14(火)25:50〜27:12
- 仙台放送 8/18(土)15:30〜16:55
- 岡山放送 8/18(土)14:00〜15:30
◆『S銅山の女』(2014年)
演出:鶴田法男 脚本:酒巻浩史 出演:石原さとみ 小池徹平
【解説】「15周年スペシャル」の作品なので当初は海外物をやろうかとかプロデュサーと考えましたが、それも違う気がして今までに無かったスケール感のあるものを、という事で決めた原作がこれでした。キャメラマンが2000年の『ほん怖2』以来、要所要所の作品で力量を発揮してくれている川村明弘さん、美術にレギュラーシリーズを担当後、一度『ほん怖』から離れていた渡部哲也さんが戻ってきてくれたりで、心強いメンバーで取り組めました。お陰で、坑道の中でのいささか危険で面倒な撮影も難なく乗り切れました。もちろん、石原さとみさん、小池徹平さんらの素晴らしいキャストがいてのことです。
そういえば、本作も当初は幾つかのショットでCGを使う予定でしたが、美術の渡部さんと、編集の深沢桂文さんが頑張ってくれて、一切使わなかったですね。
ちなみに、深沢桂文さんは1999年のフジテレビ『ほん怖』の一作目以来、編集で支えてくれた重鎮です。
それと、幽霊に追われているのにシートベルトを締めて車を発進する不自然さはテレビドラマの限界です

『S銅山の女』ロケハン写真
◆『さとるくん』(2014年)
演出:加藤裕将 脚本:鶴田法男 出演:剛力彩芽
【解説】脚本のみなので、現場のことは分かりません。2003年から助監督で入ってくれてレギュラーシリーズ中に監督に昇格した加藤裕将監督作品です。都市伝説「さとるくん」は「メリーさん」の変形バージョンですから、2000年の『オープニング』(主演:黒澤優)のリブートと言ったところでしょうか。
◆『腕をちょうだい』(2014年)
演出:鶴田法男 脚本:鶴田法男、角田ルミ 出演:桐谷美玲 菜々緒
【解説】原作は女子高生の話だったのですが、大人の女性に変えた方がよりおぞましい内容になるのではないかとプロデューサーと相談して設定を変えました。桐谷美玲さんは2006年の『6番の部屋』(主演:堀北真希)に出演していたので8年ぶりの仕事で嬉しかったですね。この時、助演の悪女役だった菜々緒さんが今年は私の脚本の『毟り取られた居場所』で主演を引き受けてくれています。
◆『誘いの森』(2014年)
演出・脚本:鶴田法男 出演:島崎遥香 広瀬アリス
【解説】この原作は80年代末に原作コミック「ほんとにあった怖い話」(現・「HONKOWA」)に掲載された古い作品で、1991~92年に発売されたビデオ『ほん怖』シリーズでもドラマ化したいと考えた時期もあったのですが諸事情で断念していました。ですから、20数年越しの企画でした。ビデオ版は低予算でしたから実際のトイレでロケを考えていましたが、そこはフジテレビのゴールデンタイムなのでトイレのセットを作って万全の態勢で挑めたので大変に満足しています。また、当時はまだ役者としては実績の浅かった島崎遥香さんや、広瀬アリスさんらを起用できたのも運が良かったです。

『誘いの森』トイレのセット
◆『闇への視覚』(2014年)
演出:加藤裕将 脚本:酒巻浩史、鶴田法男 出演:黒木瞳、宮崎美子、町田啓太
【解説】実は、このフジテレビ『ほん怖』の企画は黒木瞳さんのお力で成立したと言っても過言ではありません。1999年、当初、深夜ドラマで考えていた企画を、折からのJホラーブームの中で、突如、ゴールデンタイム番組にすることになり、それに見合ったキャスティングをしなければならなかったのですが、これは大変に難航しました。当時、映画『リング』が大ヒットしたものの、まだ清水崇監督『呪怨』も、ハリウッド版『リング』も、『着信アリ』シリーズも存在していませんでした。黒沢清監督『回路』のカンヌ映画祭正式上映もまだでした。また「Jホラー」という言葉も確立していませんでした。ですから、主に幽霊を扱ったホラーは怪しいジャンルでしかなかったのです。従って、引き受けてくれるしっかりした役者さんになかなか巡り会えず四苦八苦していました。その時に、黒木瞳さんが引き受けてくれたことで流れが変わったわけです。残念ながら私が演出を担当出来ませんでしたが、この「15周年スペシャル」で再登板をしていただけて嬉しかったですね。
『ほん怖 傑作選』:『訪問者』、『乗せて…ください』、『真夜中の徘徊者』、『迷子』解説。
18日(土)『夏の特別編2018』放映を前に、Twitterのほんとにあった怖い話[非公式]さんが、各ローカル局の『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップを投稿されていたので、それを基に私、鶴田法男の演出作品ほかについて、「思い出話」や「裏話」など記しておきます。
今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。
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【傑作選情報】
- テレビ宮崎 8/13(月)15:55〜16:49
- テレビ愛媛 8/14(火)14:55〜15:50
- テレビ西日本 8/15(水)24:55〜25:55
- テレビ新広島 8/17(金)15:50〜16:47
◆『訪問者』(2004年)
演出:鶴田法男、後藤博幸 脚本:新田隆男 出演:本仮屋ユイカ
【解説】この作品が放映された2004年は『ほん怖』のレギュラーシリーズを撮りながら、テレビ朝日『スカイハイ2』を撮り、東宝配給映画『予言』(主演:三上博史、酒井法子)の撮影もしました。Jホラー人気の最盛期だったのでまさに目が回る状態でした。
この『訪問者』は、10月2日に『予言』の初日舞台挨拶を終えた2日後の撮影だったのですけど、私はロケハン(ロケ場所の下見)のつもりで行ったら、カメラも照明も揃っていて、しかも本仮屋ユイカさんも居てビックリしましたね。慌てて撮った作品なのに、「たずねてきました」の台詞と共に多くの方から「トラウマになってます」と言われるので不思議です。
◆『乗せて…ください』(2005年)
演出・脚本:鶴田法男 出演:井上和香
【解説】私が記憶する限り自転車をメインに使った作品は、フジテレビ『ほん怖』の1999年の記念すべき一作目『オープニング』(主演:池脇千鶴)があっただけなので、この作品をやってみようとなった記憶があります。当初、撮影は一晩で終わる予定でしたが、撮影開始2、3時間後に雨が降り出して撮影中止し、日をあらためて続きの撮影をしました。
余談ですが、現在『虹色デイズ』、『榎田貿易堂』がヒット中の飯塚健監督と私は交流があり、井上和香さんは飯塚監督とご結婚をされたので個人的に身近に感じております。
◆『迷子』(2004年)
演出:鶴田法男 脚本:玉城悟 出演:佐々木蔵之介
【解説】霊に情を寄せたためにつきまとわれてしまう体験談はコミック「HONKOWA」にも良く登場します。ですが当時、私は結婚17年で子供を持ったので、子供の霊がつきまとう原作漫画を読んだときに怖いと言うより切なくてドラマ化したいと思った記憶があります。

『迷子』ロケハン写真
◆『真夜中の徘徊者』(2003年)
演出:鶴田法男 脚本:清水達也 出演:阿部寛、石橋けい、田中哲司、真木よう子
【解説】車椅子を押した看護師が追いかけてきて、最後はトイレで・・・。という「ゾンビ看護師」の怪談、もしくは都市伝説は昔からあります。その起源に関しては諸説あるようですが、これだけ長く語り継がれるのは、やはり独特の魅力があるからでしょう。
『ほん怖』では1999年の記念すべき一作目で『社内怪報』(主演:杉本哲太)として、フジテレビの関卓也監督の手で一度ドラマ化して好評を得ていました。ですが、その4年後にプロデューサーから「もう一度やりたい」と請われて取り組んだのが本作です。2006年の『そこにいる!』(主演:高嶋政伸)も「ゾンビ看護師」の応用バージョンと言えます。
ピントをぼかしスローモーションにする幽霊演出は、ビデオ『ほん怖』の時からやっていた演出でしたが、フジテレビ『ほん怖』では本『真夜中の徘徊者』で確立したと言えます。また、阿部寛さんの愛嬌のあるキャラ作りが私の恐怖演出とうまくコラボしていると思います。
ところで、主人公が指輪をあの水の中に落とすのは台本にはありませんでした。ですが、ロケハン中に思いついて撮影用にわざわざ便器を作ってもらいました。
私の1996年のオリジナルビデオ『亡霊学級』(原作:つのだじろう)で主演だった石橋けいさんと再び仕事が出来たのが嬉しかったですね。また、まだキャリアの浅かった真木よう子さん、田中哲司さんも出演されているのも見所でしょう。

『真夜中の徘徊者』ロケ場所
8月11日(土) 16:00~放送、フジテレビ『ほんとにあった怖い話 傑作選』作品解説。by 鶴田法男
8月11日(土) 16:00~17:30 放送、フジテレビ『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップが発表されました。
私、鶴田法男の演出作品について解説します。
今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。
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◆もう1人のエレベーター(2016年)
演出・脚本:鶴田法男、出演:生田絵梨花、生駒里奈、齋藤飛鳥、白石麻衣、西野七瀬
【解説】実は私の行き付けの中華屋のご主人の体験が原作。乃木坂46主演ですが、本当はオジサン1人の体験談です。実際のエレベーターでは撮影が難しいので、某廃墟の廊下にエレベーターだけセットを組んで撮影しました。

『もう一人のエレベーター』セット
◆誘う沼(2016年)
演出:鶴田法男、脚本:酒巻浩史、出演:柳葉敏郎、志尊淳、恒松祐里
【解説】私の知人の「死んだ妻に会った」という体験談を基に「HONKOWA」の一部原作の要素をミックス。池の中にクレーンで足場を下ろし幽霊役者さんに立ってもらいました。
昼の沼から幽霊が出てくるのは1971年の米国の傑作ホラー『呪われたジェシカ』(監督:ジョン・ハンコック、出演:ゾーラ・ランパート)への私のオマージュでもあります。
柳葉敏郎さんはお子さんが『ほん怖』ファンだったので主演を引き受けてくれました。私が演出しやすいように色々な提案もしてくれて大変に助かりました。柳葉さんが幽霊に襲われるシーンの一部のショットは、悲鳴を上げている芝居を声出さずに柳葉さんが演じてくれています。そのお陰で私が望んだショットを撮れました。

『誘う沼』撮影風景
◆憑依の祠(2015年)
演出・脚本:鶴田法男、出演:中条あやみ
【解説】原作の題名は「閑却の杜」。放映直前にプロデューサーがタイトルを変更。フジテレビ公式サイトではなぜか原作の題名ままで現在も掲載(18年8月10日現在)。
原作はもっと長い話でしたが、その中の夢のエピソードだけを映像化しました。原作を読んだときに学生時代に見た実験映画を突然、思い出してやってみたいとプロデューサーに提案して実現した作品です。その実験映画のタイトルも詳細も忘れましたが、同じことが繰り返す映像なのに、ある瞬間、別の映像が挟み込まれるのがショックだったのだけは覚えていたのです。
中条あやみさんは「『ちゅうじょう』と読まれたり、『あゆみ』と間違えられたりするのが悩みです」と現場で言っていたけど、現在は大活躍ですからもうそんな悩みもないでしょう。

『憑依の祠』セット
◆顔の道(2009年)
演出:鶴田法男、脚本:三宅隆太、出演:佐藤健、高橋真唯(現・岩井堂聖子)
【解説】『ほん怖』史上一番怖い作品を一つ選べ、という話になると大抵多くの人が挙げてくる作品がこれ。
原作コミックの鯛夢さんの漫画が本当にインパクト大だったので、それをどうやって映像化するかで苦心惨憺しましたね。
あの顔は2メートル近い造形物を作り、それを路上に置いて撮影をしました。全部をCG合成にしてしまうと質量が感じられないので、本当にデカい顔を現場に置くことにこだわりました。それに、役者さんも怖ろしい物が目の前にあった方が芝居がしやすいはずです。
実際、佐藤健さん、高橋真唯さんの目の前にあの顔を置いた瞬間、2人とも本気でビックリしていました。あの驚きの芝居は素に近いものです。
また、佐藤健さんがあの家に入っていくくだりの演出は1974年の歴史的ホラー映画『悪魔のいけにえ』(監督:トビー・フーパー、出演:マリリン・バーンズ)を参考にしています。
面白かったのは、階段から白装束の女が下りてくるシーンを撮っているときに、女の身体が半分くらい見えた所で佐藤健さんが「監督、僕、もう逃げ出したいんですけど」と言ってきた事でした。演出的には女の身体が全部見えるまでそこに居て欲しい。怪異と主演をからめないと怖くならないからです。しかし、普通の人間心理ならば怖くなった途端に逃げ出したくなるのが自然なわけです。佐藤さんは主演するプロの役者として怖い目に遭っても踏みとどまって観客に伝えることを伝えないとならない責務があるのは分かっている。しかし、リアルに考えると逃げ出した方が自然である。現場に来てこちらが用意した幽霊を実際に見て役者としてこの矛盾にぶつかってしまったので、私にその疑問を素直にぶつけてきたわけです。そこで私は「怖くてもそこに踏みとどまってください。そうしないと視聴者に恐怖感が伝わらない。映画の嘘と言うことでお願いします」と答えたところ、その通りにしてくれました。
「逃げ出したいのに怖くて逃げられない」と書くと簡単ですが、この芝居は、実はかなり難しいです。それを難なくやってくれた佐藤健という役者さんは凄いな、と感心したのを今でもよく覚えています。
その後の『るろうに剣心』シリーズを含めた活躍は皆さんご存じの通りです。 色々なことが非常にうまくいった作品だと自負しています。

『顔の道』ロケハン写真
◆姉さん(2004年)
演出:鶴田法男、脚本:長津晴子、出演:岡本綾、田中圭
【解説】この『姉さん』は当時有名になっていた都市伝説を題材にしたものです。残念ながらこの後、女優業を引退してしまった岡本綾さんとは1999年の関西テレビ『学校の怪談 たたりスペシャル』以来の仕事。そして、今をときめく田中圭さんが助演で出ています。
でも、正直な話をするとこのレギュラーシリーズになってからは現場のことを良く覚えていません。
当時、Jホラー人気が最盛期で『ほん怖』がレギュラーシリーズ化されて撮影をした2003年晩秋から2005年早春の間に、映画『予言』を撮り、テレビ朝日『スカイハイ』シリーズにも参加していました。ですから、自分史上最も忙しかった時期で、作品の記憶がゴチャゴチャになっています。
ただし、この『姉さん』はヒッチコックの『レベッカ』の演出を応用したいと思い取り組んだのは鮮明です。映画ファンの方はそれに注目してご覧になってもらえると別の角度から楽しめると思います。
◆深夜の鏡像(2004年)
演出:鶴田法男、脚本:清水達也、出演:神木隆之介
【解説】『深夜の鏡像』はレギュラーシリーズの撮影に入ってまだ3本目くらいに撮った記憶があります。
神木くん(と言っては、もはや失礼ですね)は当時既に天才子役として名を馳せていましたけど、実際、撮影をしてみて「なるほど」という感嘆しかありませんでした。
本作をご覧になると幾つかCGや合成をしていると思われるかも知れませんが、実は一切、CGや合成などは使っていません。現場にマジック・ミラーを用意して、すべてアナログで撮影しました。 当初、私は合成が必要だと思っていたのですが、チーフ助監督の森脇智延が、「監督、これ、一切、合成カットを使わなくていけますよ」と言ってくるので任せてみたら、ほんとに使わないで出来たのでビックリしましたし、森脇の優秀さに感動しました。
森脇智延は現在、監督になり昨年から私の抜けた『ほん怖』を支えてくれています。
では、11日(土)、フジテレビの「傑作選」、そして18日(土)『夏の特別編2018』をお楽しみに。
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