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『ほん怖 傑作選』:『憑かれた家』、『うしろの女』、『部屋に棲む者』、『心霊写真』解説。

18日(土)『夏の特別編2018』放映を前に、Twitterの「ほんとにあった怖い話[非公式]」さんが、各ローカル局の『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップを投稿されていたので、それを基に私、鶴田法男の演出作品ほかについて、「思い出話」や「裏話」など記しておきます。

今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。

フジテレビ『ほんとにあった怖い話 傑作選』公式サイト ←こちら

 

【傑作選情報】

  • テレビ愛媛 8/15(水)14:55〜15:50
  • 仙台放送 8/16(木)15:50〜16:50
  • テレビ新広島 8/16(木)15:50〜16:47

◆『憑かれた家』(2003年)

演出:鶴田法男 脚本:三宅隆太、高木登 出演:ユースケ・サンタマリア、三浦理恵子

【解説】フジテレビ『ほん怖』は、私が1991~92年にかけて発表したビデオ映画『ほんとにあった怖い話』が基になっています。また、このビデオ版『ほん怖』シリーズは、後のJホラー作家、黒沢清監督、『リング』の脚本家・高橋洋氏、中田秀夫監督、清水崇監督らに多大な影響を与えた事から「Jホラーの原点」と呼ばれ、私が「Jホラーの父」と呼ばれるゆえんとなりました。このビデオ版『ほん怖』の中でも最も評価が高い作品が『霊のうごめく家』です。フジテレビ『ほん怖』の中心人物、後藤博幸プロデューサーもこの『霊のうごめく家』が大好きで、「テレビでリメイクしたいです」と言ってきたのが発端で、『憑かれた家』が誕生しました。原作は別の原作ですが、『霊のうごめく家』を意識して撮ったので似たような構図や演出が随所にあります。ビデオ『ほん怖』はDVDも廃盤ですが、下記で正規の動画配信がされているのでご興味ある方は覗いてみてください。

正式タイトル「ほんとにあった怖い話」で検索をしてください → ビデオマーケット

 

『憑かれた家』ロケハン写真。

『憑かれた家』ロケハン写真。

◆『うしろの女』(2004年)

演出:鶴田法男 脚本:玉城悟 出演:長澤まさみ

【解説】これは『ほん怖』としてはかなり変化球な作りなのですが、長澤まさみさんの出世作である映画『世界の中心で愛を叫ぶ』が公開される前に出演されたので、貴重な作品になっていますね。

演出的にも全編を手持ちカメラで撮っているのが『ほん怖』としては珍しいです。当時の自分の恐怖演出の基本は「いかに空間を怖く見せるか」なので、手持ちカメラの常にぶれている画面では怖くならないと考えていました。ですから、三脚を付けた固定カメラ、動くときはレールやクレーンに載せてスムーズに移動させる、という絵のスタイルにこだわっていたのです。しかし、この作品はいわゆる「怖い」という演出よりも、いかに「日常」を切り取るかだろうと考えて、手持ちにしたわけです。面白く出来た作品だと思っています。

 

◆『部屋に棲む者』(2004年)

演出:鶴田法男 脚本:佐藤太喜 出演:高岡蒼甫

【解説】実は、この作品も『訪問者』と同様で、撮影当日にはじめて現場に行って役者さんと顔を会わせるという、随分と無茶なことをやりました。『訪問者』と違うのは、『部屋に棲む者』は事前に覚悟していたということですね。でも、ちょっとコミカルなタッチの面白い作品になったと思います。

 

◆『心霊写真』(2005年)

演出:鈴木雅之 脚本:三宅隆太 出演:山本耕史

【解説】昔、私が見た西ドイツのSF映画で宇宙人が次第に近づいてくるのを連続スチール写真で描くシーンが異常に怖くてトラウマになっていたので、いずれそれを応用してドラマを作ってみたいと思っていたのです。後藤プロデューサーと脚本の三宅隆太くんが打ち合わせている席で、その話をしたら「使わせてくれないか?」という事になり、「まあ、『ほん怖』の為ならば」ということで、それに見合った原作を探して三宅くんが脚本を書いたのでした。私の名前はクレジットされてませんが、まあ、サービスと言うことで…。

『恐怖コレクター』公式サイト

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