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『ほん怖 傑作選』:『S銅山の女』、『腕をちょうだい』、『誘いの森』、『闇への視覚』解説。

18日(土)『夏の特別編2018』放映を前に、Twitterのほんとにあった怖い話[非公式]さんが、各ローカル局の『ほんとにあった怖い話 傑作選』のラインナップを投稿されていたので、それを基に私、鶴田法男の演出作品ほかについて、「思い出話」や「裏話」など記しておきます。

今年の『夏の特別編2018』は脚本で1本参加するだけで、演出含めノータッチです。

フジテレビ『ほんとにあった怖い話 傑作選』公式サイト ←こちら

 

【傑作選情報】

  • 東海テレビ 8/14(火)25:50〜27:12
  • 仙台放送 8/18(土)15:30〜16:55
  • 岡山放送 8/18(土)14:00〜15:30

◆『S銅山の女』(2014年)

演出:鶴田法男 脚本:酒巻浩史 出演:石原さとみ 小池徹平

【解説】「15周年スペシャル」の作品なので当初は海外物をやろうかとかプロデュサーと考えましたが、それも違う気がして今までに無かったスケール感のあるものを、という事で決めた原作がこれでした。キャメラマンが2000年の『ほん怖2』以来、要所要所の作品で力量を発揮してくれている川村明弘さん、美術にレギュラーシリーズを担当後、一度『ほん怖』から離れていた渡部哲也さんが戻ってきてくれたりで、心強いメンバーで取り組めました。お陰で、坑道の中でのいささか危険で面倒な撮影も難なく乗り切れました。もちろん、石原さとみさん、小池徹平さんらの素晴らしいキャストがいてのことです。

そういえば、本作も当初は幾つかのショットでCGを使う予定でしたが、美術の渡部さんと、編集の深沢桂文さんが頑張ってくれて、一切使わなかったですね。

ちなみに、深沢桂文さんは1999年のフジテレビ『ほん怖』の一作目以来、編集で支えてくれた重鎮です。

それと、幽霊に追われているのにシートベルトを締めて車を発進する不自然さはテレビドラマの限界です

 

『S銅山の女』ロケハン写真

『S銅山の女』ロケハン写真

◆『さとるくん』(2014年)

演出:加藤裕将 脚本:鶴田法男 出演:剛力彩芽

【解説】脚本のみなので、現場のことは分かりません。2003年から助監督で入ってくれてレギュラーシリーズ中に監督に昇格した加藤裕将監督作品です。都市伝説「さとるくん」は「メリーさん」の変形バージョンですから、2000年の『オープニング』(主演:黒澤優)のリブートと言ったところでしょうか。

 

◆『腕をちょうだい』(2014年)

演出:鶴田法男 脚本:鶴田法男、角田ルミ 出演:桐谷美玲 菜々緒

【解説】原作は女子高生の話だったのですが、大人の女性に変えた方がよりおぞましい内容になるのではないかとプロデューサーと相談して設定を変えました。桐谷美玲さんは2006年の『6番の部屋』(主演:堀北真希)に出演していたので8年ぶりの仕事で嬉しかったですね。この時、助演の悪女役だった菜々緒さんが今年は私の脚本の『毟り取られた居場所』で主演を引き受けてくれています。

 

◆『誘いの森』(2014年)

演出・脚本:鶴田法男 出演:島崎遥香 広瀬アリス

【解説】この原作は80年代末に原作コミック「ほんとにあった怖い話」(現・「HONKOWA」)に掲載された古い作品で、1991~92年に発売されたビデオ『ほん怖』シリーズでもドラマ化したいと考えた時期もあったのですが諸事情で断念していました。ですから、20数年越しの企画でした。ビデオ版は低予算でしたから実際のトイレでロケを考えていましたが、そこはフジテレビのゴールデンタイムなのでトイレのセットを作って万全の態勢で挑めたので大変に満足しています。また、当時はまだ役者としては実績の浅かった島崎遥香さんや、広瀬アリスさんらを起用できたのも運が良かったです。

 

『誘いの森』トイレのセット

『誘いの森』トイレのセット

◆『闇への視覚』(2014年)

演出:加藤裕将 脚本:酒巻浩史、鶴田法男 出演:黒木瞳、宮崎美子、町田啓太

【解説】実は、このフジテレビ『ほん怖』の企画は黒木瞳さんのお力で成立したと言っても過言ではありません。1999年、当初、深夜ドラマで考えていた企画を、折からのJホラーブームの中で、突如、ゴールデンタイム番組にすることになり、それに見合ったキャスティングをしなければならなかったのですが、これは大変に難航しました。当時、映画『リング』が大ヒットしたものの、まだ清水崇監督『呪怨』も、ハリウッド版『リング』も、『着信アリ』シリーズも存在していませんでした。黒沢清監督『回路』のカンヌ映画祭正式上映もまだでした。また「Jホラー」という言葉も確立していませんでした。ですから、主に幽霊を扱ったホラーは怪しいジャンルでしかなかったのです。従って、引き受けてくれるしっかりした役者さんになかなか巡り会えず四苦八苦していました。その時に、黒木瞳さんが引き受けてくれたことで流れが変わったわけです。残念ながら私が演出を担当出来ませんでしたが、この「15周年スペシャル」で再登板をしていただけて嬉しかったですね。

『恐怖コレクター』公式サイト

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