寝言

コッポラ監督『カンバセーション…盗聴…』を観てなかったらOV『ほん怖』の一篇『霊のうごめく家』は作れなかった。

新宿武蔵野館で『カンバセーション…盗聴…』を40数年ぶりにスクリーンで。
自分にとって最も大切な映画の1本だから、上映開始後、直ぐに観に行きたかったのだけど色々と仕事が立て込んでしまってギリギリの鑑賞。
映画はカメラが役者の芝居を撮ることだけではなくて、役者の芝居を無視して空間を撮ることでも、効果的な演出が出来ると教えてくれた最初の作品。
これを観てなかったら私の作品で最も評価の高いOV『ほん怖』の一篇『霊のうごめく家』は作れなかったと思います。
また、『王様ゲーム』という映画を撮ることになった時、あまりに条件が厳しいので、「とにかく映画が撮れる新人の頃の喜びを思い出して撮ろう」と思って、大カメラマン、上野彰吾氏と初めて組めるという事もあったので、『カンバセーション…盗聴…』を観てもらって、ビル・バトラー(『ジョーズ』他)が芝居を無視してどういうキッカケでワークをしているのか等を話し込んで撮影したりしました。
それにしても『カンバセーション…盗聴…』は、ウォルター・マーチの音響効果や、デヴィッド・シャイアがオープンリールの回転をイメージして作ったというテーマ曲、そして、『フレンチ・コネクション』の乱暴な刑事と同一人物と思えない繊細で神経質なキャラクターの主人公を演じたジーン・ハックマンなど、本当に優れた映画だと再認識。
監督をクビになりかけたりなどの艱難辛苦を乗り越えて完成させた『ゴッドファーザー』の後、コッポラは長年温めていたこの企画を気楽な気分で撮ったのに、カンヌでパルドールを受賞し、各方面で絶賛されたのでかえって悩んでしまい、それが『地獄の黙示録』の壮絶な苦悩に繋がったとも言われていますが、個人的にコッポラの作品で一番好きな作品でもあります。
今回スクリーンで再見できてまさに極楽、最良の喜びでした。
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