寝言

磯谷渚監督、高橋洋脚本、河野知美主演『Polar Night/ポーラーナイト』は映画全盛期の頃の日本映画みたいな素敵なヴァンパイア・ラブストーリー!

『Polar Night/ポーラーナイト』鑑賞。
磯谷渚監督・脚本、主演・プロデュース、河野知美氏、共同脚本・高橋洋氏の生身の人間の吸血鬼映画。
ロメロの『マーティン』をイメージして観に行ったのだけど、自分がプロとして活動できるキッカケを作ってくれた8ミリフィルム自主映画『トネリコ』を思い出してしまうヴァンパイア・ラブストーリーでした。
自作『トネリコ』は吸血鬼退治のトネリコの杭が男性の象徴に思えたのが創作の発端だったのですが、やはり吸血鬼という存在は世界の作家や表現者にエロティックな創作意欲をかき立てるなにかがありますね。
それと、本作鑑賞中にもうひとつ思い出したのは、高橋洋氏の『リング0』のプロットの草稿。当初の高橋氏の貞子のイメージは、フランソワ・トリュフォーの『野性の少年』の少年のような獣のような存在でした。
『Polar Night/ポーラーナイト』の河野知美氏演じる謎の女、衣良は、普通に会話をする人間なのだけど、獣めいたところがそこはかとなく醸し出されていて、もし『リング0』があの草稿のままに映画化されたら、こんな感じの貞子になったのかしらと思えて、個人的にとても興味深く拝見しました。
今まで中篇で高い評価を得てきたという磯谷渚監督作品は初体験ですが、増村保造監督作品みたいな芝居の作り方で、絵もかっちり撮っているので、映画全盛期の50年代辺りの日本映画の新作を観てるようで幸せな時間が過ごせましたね。
パンフレットが1,000円したけど、超充実でした。
新宿シネマカリテは今月28日迄。
上映後のトークでは左から磯谷渚監督、ゲスト・氏家譲寿氏、脚本・高橋洋氏が登壇。
自分の『トネリコ』のチラシもしれっとあげておきます
https://polarnight.net/