寝言

「三鷹オスカー 一日だけ、復活!」いよいよです。

 いよいよ来週22日(月/祝日)に『三鷹オスカー 一日だけ、復活!』が開催される。前売りチケットは『いとこ同志』を多少残すのみで完売間近だそうだ。このイベントを応援してくださっている皆さんのお陰である。心より感謝させていただきたい。
 さて、公式サイトでは三鷹オスカーの様々な写真を掲載して解説を付けているのだが、私の家族が写っているものはあえて外した。どうも鶴田家の人間は人前に立つのが苦手で、舞台挨拶などをしなければならない私でさえいまだに慣れない。壇上に上がると足も声も震えてしまい挨拶が終わったときには手に汗をびっしょりかいているのが常だ。そんな人間の父親が人前に立つのを喜ぶはずもないので、三鷹オスカーを経営する会社の社長であった故・啓次郎の写真は外したのである。ただし、この様なありがたい機会に社長が不在というのはやはり寂しい。そこで、父が生涯の間で唯一、壇上に上がった瞬間を捉えた写真をここに掲載したい。

 父は1960年頃から三鷹オスカーの前身になる映画館の運営に関わり、1990年に閉館するまでの約30年間を映画館業務に身を捧げた。映画好きの人からすると羨ましいばかりだろうが、名画座として三鷹オスカーに転身する前の封切館だった頃は、映画が斜陽産業の極みで一日の入場者数が3人なんて事もあったらしい。これは三鷹オスカーが閉館した後に聞いた話で、父はそんな様子をおくびにも出さなかった。だから、当時、中高生だった私はのほほんと日々をおくり、結局、映画監督などという不安定な仕事を始めてしまった。子供に不安を与えない父親というのは立派で尊敬するばかりだ。でも、多少は社会の厳しさを身をもって子供に伝えた方が良いのではないかと、自分が子持ちになった現在は思うことがある。ただ、その伝えかたが難しいが…。
 あらぬ話になってしまったが、今回の上映を父も喜んで見守ってくれると思う。後は無事にイベントが終了し、三鷹市に名画座を復活させたいという三鷹市民の方々の夢が一歩でも実現に近づけばと願うばかりだ。

「三鷹オスカー 一日だけ、復活!」公式サイト↓
http://cinema.mall.mitaka.ne.jp/

全ての上映終了後、壇上に上がって花束を受け取った三鷹オスカー、社長の故・鶴田啓次郎。(1990年12月30日撮影)

全ての上映終了後、壇上に上がって花束を受け取った三鷹オスカー、社長の故・鶴田啓次郎。(1990年12月30日撮影)