寝言

『三鷹オスカー 一日だけ、復活!』お陰様で盛況のうちに終了!

会場になった三鷹市芸術文化センター、星のホールの入口。

会場になった三鷹市芸術文化センター、星のホールの入口。

3月22日(月/祝日)に『三鷹オスカー 一日だけ、復活!』が開催され盛況のうちに終了することができた。昨秋に三鷹市の第三セクター、㈱まちづくり三鷹から連絡を頂いてから、三鷹オスカーの番組編成を担当していた兄と共にこのイベントの準備に関わって半年。我々兄弟としては嬉しい企画で三鷹市の有志の方で組織される「三鷹コミュニティシネマを夢みる会」の熱意にも乗せられてどっぷりとはまってしまった。
結果、前売り券は完売し、当日は朝から当日券を求める人々が並んでくれて嬉しい限りだった。ちょっと心配だったのは三鷹オスカーが自由席だったこともあり指定席制にしなかったので、お客様の座席の確保で混乱が生じるのではないかということだった。でも、「夢みる会」とボランティアスタッフの方々が一生懸命に対応していたのと、素敵なお客様ばかりだったので杞憂に終わりホッとした。
上映された『地下室のメロディー』、『いとこ同志』、『死刑台のエレベーター』共に満席だった。

上映された『地下室のメロディー』、『いとこ同志』、『死刑台のエレベーター』共に満席だった。

トークイベントでは兄の浩司と三鷹市在住の脚本家、金子二郎さんが三鷹オスカーの思い出や名画座の必要性などを語った。更に30年数年前に三鷹オスカーで催されたイベントで司会を担当したコラムニストのえのきどいちろうさんにも飛び入りで登壇してもらった。えのきどさんの「好きなことを守るには身銭を切ることです」という言葉は特に印象的で会場にいた全員に響いたようだった。
今回は三鷹に三鷹オスカーのような常設の映画館を作ろうという夢に向かっての一歩としては順調な滑り出しだったと思う。しかし、こういうイベントは継続していかないと力にならない。
「三鷹コミュニティシネマを夢みる会」の皆さんに是非とも頑張っていただいて、第2弾、第3弾の開催をお願いしたい。
それと最後に、個人的に課題に感じた事を記しておきたい。会場は満員盛況だったのだが、お客様に若い人たちが少なかったのが残念だった。
ロビーにはありし日の三鷹オスカーの写真や当時のチラシやチケットが展示され、閉館時に撮影されたビデオがモニターで再生された。

ロビーにはありし日の三鷹オスカーの写真や当時のチラシやチケットが展示され、閉館時に撮影されたビデオがモニターで再生された。

むろん、20年前に閉館した劇場の復活を謳いクラシック作品を上映するのだから年齢層が高くなるのは当然かも知れない。でも、三鷹オスカーではどんなに古い作品を上映しても若い人たちが通ってくれていた。聞けば映画学校の生徒でもクラシック作品を観ない人は多いらしく、今の人たちは映画文化というものに興味がないのかと心配になってしまう。このことを映画業界のマーケティングに詳しい人物に尋ねてみたら、テレビの映画枠が減った上に、放映されるのは新作中心で往年の名画の鑑賞が気軽にできなくなったのが要因ではないかと答えが返ってきた。昔はNHK地上波や民放の深夜などで名作を定期的に放映していたのでなんとなく観る機会があったけれど、いまはBSやDVDなどで意識してみないとクラシック作品を観る事が出来ない。
そして三鷹オスカーのような名画座が激減してしまったことも大きな要因だ。どんな立派な作品でも触れる機会が無ければ鑑賞意欲は湧かない。テレビで観て面白かったから映画館でもう一度観る。もしくは、映画館で観て感動したからテレビで観てDVDを買う。そういう相互関係の中で文化は育ち継承されていく。新作中心主義ではそれは難しい。ただ、現状を愁いでいるだけではいつまで経っても若い人たちが名作に触れる機会が無くなってしまう。三鷹に三鷹オスカーのような映画館を造ろうという夢は、三鷹市のためだけでなく若い人に映画文化を伝えていくという重要な課題も背負っていると思える。
トークショーの登壇者。左から司会の「三鷹コミュニティシネマを夢みる会」羽石雅子さん、三鷹オスカーの元番組編成・鶴田浩司、コラムニスト・えのきどいちろうさん、三鷹市在住脚本家・金子二郎さん。

トークショーの登壇者。左から司会の「三鷹コミュニティシネマを夢みる会」羽石雅子さん、三鷹オスカーの元番組編成・鶴田浩司、コラムニスト・えのきどいちろうさん、三鷹市在住脚本家・金子二郎さん。

それだけに次の機会があった際には皆さんからなお一層の応援をいただきたいと切に願うばかりだ。どうぞよろしくお願いします。

三鷹市ホームページ「フォトニュース」
http://www.city.mitaka.tokyo.jp/index.html
「三鷹オスカー 一日だけ、復活!!」専用サイト↓
http://cinema.mall.mitaka.ne.jp/