寝言

映画『ようこそ映画音響の世界へ』と、20年前に鶴田法男が撮った『怪談百物語/雪女』の意外な関係!

ヒットしても私が儲かるわけではないのですが、『ようこそ映画音響の世界へ』が8/28より上映中です。

20年近く前、フジテレビ『怪談百物語』の一遍『雪女』(演出:鶴田法男/主演:竹中直人、松雪泰子、萩原聖人)の音の仕込みに立ち会っている時に、「雪女が起こす吹雪の音が物足りない」と言ったら音響効果さんがちょっと考えて動物の鳴き声の録音テープを引っ張り出してきたので、「何をするんだろう?」と見てたら、吹雪の音にライオンの咆哮を混ぜたのでした。「ええ?」と思ったけど、再生してみるとこれがバッチリな迫力増量で「効果音とはこういうことなのか!」と目からうろこが落ちました。

『ようこそ映画音響の世界へ』の中で、『トップガン』の音響効果ウーマン、セス・ホールが「ジェット機の音にライオンの咆哮を混ぜた」と種明かしをしたところで、20年前を思い出してつい笑ってしまいました。

本作は、そんな技術的な話だけでなく、セス・ホールが映画会社の重役から「音は重要じゃ無い」とクビになったのに、その逆境を乗り越えてアカデミー賞にノミネートされたなんて痛快な証言も出てきます。
映画作りそのものがドラマチックな映画なのです。大変に面白いドキュメンタリーですよ。

ところで、こんなことを書いていたら、松雪泰子さんの雪女があまりに美しすぎて監督の私がクラクラしたことを思い出しました。それに、テレビドラマなのに凄い美術でした。『地獄門』、『鬼龍院花子の生涯』等の日本映画美術の巨匠、故・西岡善信さんの会社の制作でしたから、出来た技でしょう。それと、私が準備段階で、西岡善信さんの古巣である大映の雪女映画『怪談雪女郎』(監督:田中徳三/主演:藤村志保)のオマージュ的な作品を作りたいと言ったので、力を入れてくださったのかも知れません。私の『雪女』はDVDレンタルもされていますが、今はほとんど見かけませんね。テレビドラマはなかなか見てもらえる機会が無いのが残念です。

話がすっかりそれましたが、少しでも映画に興味があるなら『ようこそ映画音響の世界へ』は絶対にお薦めの映画です。