寝言

【7日間、映画チャレンジ】、『天使にラブ・ソングを…』と『野のユリ』。

【7日間、映画チャレンジ】
●適当にゆる~くやりますので、毎日1本ではなく間が開く日もあるかと思います。
●「#stayhome のバトン疲れ」も報道されているので、お声がけはしないようにします。
●ただし、もしご興味がある方はご連絡をください。
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4日目は、『天使にラブ・ゾングを…』と『野のユリ』。

20年5月15日(金)21時から、日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で放映された『天使にラブ・ソングを…』が世帯視聴率15・2%だったそうで驚きました。今は世帯視聴率10%を超えたらヒットと呼ばれているのです。それなのに15.2%! 1992年製作、日本公開1993年の古い米国映画がここまでの視聴率を取るとは日テレの皆さんも考えてなかったんじゃないですかね。

テレビの仕事をすると「視聴率! 視聴率!」と言われてしまって大変なんですが、私が企画から立ち上げたオリジナルビデオ『ほんとにあった怖い話』にフジテレビさんが注目して、稲垣吾郎、黒木瞳、中山美穂、杉本哲太、池脇千鶴(敬称略)らの豪華キャストの単発オムニバスドラマに飛躍したのが1999年8月。この時の視聴率は18.8%だったのですが、プロデューサーは「物足りない結果だった」と嘆いていたのをいまだによく覚えています。『ほん怖』とよく混同されるフジテレビ系『世にも奇妙な物語』は当時、20%以上を当たり前に取っていたからです。それから20年、今は10%を超えると大喜びですから時代は変わりました。

閑話休題。

今回の『天使にラブ・ゾングを…』の放映は公式サイトで「見たい映画」の人気投票を視聴者にして上位に上がったので夜9時のゴールデンタイムに放映したそうです。新鮮な話題作とか、人気スターが出てるとかそういうことではない「面白い作品」という単純な理屈で視聴者は見てくれるという事ですね。作り手としては希望が持てます。そういえば、日テレさんは4月18日には大林宣彦監督、追悼で『時をかける少女』を放映してくれて映画愛が感じられて、とても感謝です。

さて、『天使にラブ・ゾングを…』については今さら多くを語る必要は無いでしょうし、私より詳しい方がFacebookユーザーには沢山いらっしゃるでしょう。

でも、『新幹線大爆破』を観たら『ブラック・サンデー』を思い出すように、この映画を観ると1963年のシドニー・ポワチエ主演、ラルフ・ネルソン監督『野のユリ』を思い出してしまうのです。

シドニー・ポワチエが黒人でありながら史上初のアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品なので、若い方でも映画好きならばタイトルくらいはご存じかと思います。

気ままに一人旅を続ける黒人青年ホーマーが車の故障で立ち寄った寒村の一軒家には、教会を建てようとしている修道女たちが居た。彼女たちは東ドイツから亡命してきたので言葉もろくにしゃべれず、体力もお金も無い。マリア院長は、ホーマーを「神が使わした者」と信じて強引に教会建設を手伝わせてしまう。最初は嫌がっていたホーマーだけど、次第に修道女たちや村の人達とも親しくなり、教会作りに夢中になっていく。

『天使にラブ・ゾングを…』は白人の修道女たちの教会に黒人女性デロリスが入り込んでくる話ですが、こちらは白人修道女のところに黒人男性が来るわけです。そして、前者のデロリスは修道女達に歌を教えるのわけですが、『野のユリ』のホーマーは修道女達に英語を教えて、さらに「AMEN(エイメン)」というゴスペルお教える。

白人修道女たちのところに現れた黒人によって、ミサに訪れる者もいない不人気の教会が大人気になる『天使にラブ・ゾングを…』。一方、教会を建てることが出来る『野のユリ』。

設定が似てますでしょ?

でも、『天使にラブ・ゾングを…』は元々、映画『ローズ』に主演して様々な賞にノミネートされたベッド・ミドラーの主演を想定して書かれた脚本だったと聞いたことがあります。ミドラーは白人です。そうなると『天使にラブ・ゾングを…』は『野のユリ』にヒントを得たものではなかったのかもしれませんね。

ところが、ベッド・ミドラーが降りてしまったためにウーピー・ゴールドバーグに打診。白人女性のミドラーから、ウーピーに代わるので、脚本の改稿が必要になり、その時に雇われたのがメリル・ストリープ主演『ハリウッドにくちづけ』の原作&脚本で作家として評価されていた女優キャリー・フィッシャーだったらしいです。ウーピー主演と聞いてキャリー・フィッシャーは『野のユリ』を想起して近い感じのものに書き直した……?
いや、完成作品にフィッシャーはクレジットされてないですからね。
単なる一映画ファンの、「そんなだったら素敵だな」という勝手な夢想です。

ところで、『野のユリ』の「エイメン」はまさに名曲で一度聴いたら忘れられないし、クライマックスでホーマーと修道女達が熱唱するわけですけど、この時のシドニー・ポワチエとマリア院長を演じた女優リリア・スカラの台詞無しの表情だけの芝居が見事すぎて、何度観ても目が潤んでしまいます。

『野のユリ』を今調べた限り、配信が無さそうですが、DVDは出てるのでご興味もたれましたらご覧になってみてください。

ちなみに、下記はシドニー・ポワチエがアカデミー賞を受賞した瞬間の映像。歴史が代わった瞬間の映像でもありますね。プレゼンターの女優アン・バンクロフトの笑顔がまぶしいです。
https://youtu.be/qCzTyxXPy1o

では、また。
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