寝言

【7日間、映画チャレンジ】、ビビアン・リー、ロバート・テイラー主演、マービン・ルロイ監督『哀愁』。

【7日間、映画チャレンジ】
●適当にゆる~くやりますので、毎日1本ではなく間が開く日もあるかと思います。
●「#stayhome のバトン疲れ」も報道されているので、お声がけはしないようにします。
●ただし、もしご興味がある方はご連絡をください。
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3日目は、『哀愁』。

【7日間、ブックカバーチャレンジ】の時に、生まれてはじめて震え上がったホラー映画はロバート・ワイズ監督『たたり』(’63)だと記したと思います。東京12チャンネル(現・テレビ東京)の『木曜洋画劇場』で放映されたのを観た時でした。

で、そういえば、生まれて初めてボロ泣きした映画は、同じ枠で放映されたビビアン・リー、ロバート・テイラー共演、マーヴィン・ルロイ監督『哀愁』(’40)だったと思い出しました。小学校6年の時です。

第一次大戦のさなか、ロンドンのウォータールー橋で出会ったマイラ(ビビアン・リー)とロイ(ロバート・テイラー)の悲恋映画なのは皆さんよくご存じのことと思います。

菊田一夫のラジオドラマを原作とした、岸恵子、佐田啓二共演、大庭秀雄監督『君の名は』(’53~’54)は、本作にインスパイアされてウォータールー橋を数寄屋橋に置き換えて作られた作品と言われています。でも、『君の名は』を以前観たときの印象としては、もう一つ参考にしたというレオ・マッケリー監督、アイリーン・ダン、シャルル・ボワイエ共演『邂逅』(’39)の影響の方が強いのではないかと思いました。といっても、レオ・マッケリーが自らリメイクしたデボラ・カー、ケーリー・グラント共演『めぐり逢い』(’57)しか観てないのでなんとも言えませんけどね。

気楽に書いている雑文なのでお許しくださいね。

まあ、とにかく、『哀愁』は悲恋映画の代名詞みたいな映画ですけど、何度目かに観たときに「あれれ? これってホラーなんじゃないの?」と思ってしまって以来、個人的には非常に怖い映画なんですね。

未見の方は、これから先をお読みにならないでください。ネタバレしますので。

マイラは婚約者ロイが戦死したと思い、さらに生活に窮して娼婦に落ちぶれるわけです。ところが、ロイと奇跡的に再会してしまう。そしてマイラは、自分の今の職業を隠してロイと結婚するために彼の屋敷に向かうわけです。

でも、ロイは戦死したと新聞で伝えられているのです。だいたい、あれだけの人が行き交っている駅でバッタリ会うなんて不自然すぎる。実はロイの亡霊を、マイラは実体だと信じ切ってしまったのではないか。

きっとこれは小泉八雲の『怪談』の中の一編『和解』(小林正樹監督『怪談』(’65)で『黒髪』のタイトルで映画化)みたいな話なんじゃないか。

そう思ってしまったら、それからというものホラー映画に思えてしまって、どうも怖くて仕方ないのです。

マイラがたどり着いたのはロイの死んだ家族が住む幽霊屋敷で、そこで亡霊達の歓待を受けるけど、今は娼婦になった事を黙っていたマイラは自分の罪に気付かされて、ウォータールー橋でビリケンさんを落とすはめになる怖ろしい物語。

まあ、ロイの回想で話が始まり、回想で終わるのでロイが幽霊のはずはないのですけれどもね。でも、もしかしたら、実は幽霊の回想で全てが成り立っている映画なのではないかと思ったり……。

なんでもホラーにしたがる私のいけない癖なんですけどね。

それはさておき、本作の魅力はやはりビビアン・リーですね。
自分は『哀愁』のマイラというひ弱な女性像に最初に魅了されたので、後にリバイバル上映で観た『風と共に去りぬ』の勝ち気なスカーレット・オハラにはどうも違和感があります。

あ、それと日本のデパートなどの施設で閉館時に「別れのワルツ」(「蛍の光」)が流れるのは、この映画が1949年に公開されて大ヒットしてからのことだそうです。
中盤でマイラとロイが訪れるダンスホールのバンドが最後の曲として演奏したのが評判になり、それを基に古関裕而が自身の名前をもじったユージン・コスマン名義で編曲して発売したところ大ヒットになったそうな。NHK連続テレビ小説『エール』のモデルですね。

なお、本作はパブリックドメインなのでAmazonPrimeで配信されてる他、様々なDVDがあっちこっちで売ってますけど、画質音質はこのワーナーホームビデオから出ているものが一番良いようです。

では、また。

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