寝言

「この映画のおかげで米農家をしばらく続けられることになった」という『侍タイムスリッパー』の安田淳一監督の言葉に、映画界の末席を汚している身としては勇気をもらえました。

『侍タイムスリッパー』のアクスタが出てるんですね。作品が好きだからというだけでなくて、安田淳一監督を応援したくて思わずポチりました。
日本外国特派員協会の会見で安田監督が日本の米農家の厳しい状況を語っていて、あらためて応援しないといけないと思った次第です。
『侍タイムスリッパー』は、安田監督のオリジナル脚本を、監督ご自身の資金で作った映画なので、我々が作品を鑑賞したりグッズを買ったりすれば、GAGAなど配給業者に手数料が落ちるにしても、監督に金銭的還元が確実に出来るはずなので気持ちが良いです。
以下、一般の方はあまりご存じないと思いますからあらためて記します。
実は日本の映画監督には著作権がありません。
ですから、決められたギャラを貰うだけで、映画館で映画を観てくださっても特別な契約をしてないかぎりはそれ以上の金銭は監督には一銭も入ってきません。
DVDや配信で人気になった場合、二次使用料が入ってきますが、これも業界の慣例、というか紳士協定でそうなっているだけで、日本の制度においては映画会社やテレビ局等はどんなに作品がヒットしても監督に印税等を払う義務はありません。
多くの場合、映画会社やテレビ局はその紳士協定に従ってくれますが、大手企業でも従ってくれないところもあります。
『侍タイムスリッパー』から話がそれましたが、本作については観客が本作を面白いと思ってお金を使えば資金を工面した製作者でもある監督に確実に還元できるわけです。
ただし、役者さんには普通は還元できません。ハリウッドのように出演料が興収の?%などという契約を交わしていれば話は別ですが、日本ではそういう契約はなかなか難しいです。
安田監督がしきりに「役者さんが注目されてほしい」とおっしゃっているのは、そういう背景があってのことでしょう。
なんだか生臭い話になってしまい申し訳ありません。
ですが、『侍タイムスリッパー』のヒットで嬉しいのは、普段は「映画は儲からない」、「借金を抱えるだけでリスキーすぎる」とか言われがちなのに、「この映画のおかげで米農家をしばらく続けられることになった」とおっしゃる安田監督の言葉に、映画界の末席を汚している身としては勇気をもらえたことです。
安田監督とはレインボータウンFM「岡村洋一のシネマスクエア」の番組内で、電話で少しお話をしただけにすぎませんが、あらためて安田淳一監督に感謝したいと思います。