ディスク『1917 命をかけた伝令』、しばらくは愛視聴版になりそう。
『1917 命をかけた伝令』をBDで堪能。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督『バードマン』も良くできた長回し映画だったけど、ワンカットで撮るために芝居に余計な間や、カメラが無駄な動きをする瞬間が散見されて、ディスクを買う気にならなかった。
上田慎一郎監督『カメラを止めるな!』の37分間ワンカットはそういう芝居の余計な間やカメラの無駄な動きが後に笑いに繋がる周到な作りで見事だったけど、絵画的構図を最初から求めていなかった。
でも、『1917』はそういった余計な間や無駄な動きが全くないどころか、カットを割ってワンカット、ワンカットを丁寧に撮ったかのように映像が非常に絵画的で見入ってしまう。
本作でアカデミー賞を受賞した大ベテラン・カメラマン、ロジャー・ディーキンスがどうしても注目されてしまうが、長回しなのに一枚一枚の絵の構図がバッチリ決まっているのは、その構図を実現させるために作った美術の力でもあるし、そこにお金を掛けさせたプロデューサーの力でもあり、もっと言えば衣装もメイクも編集もCGも合成も音楽も、本作に関わるすべての人間の息が合ってないとできない技だし、それをまとめあげたサム・メンデス監督の力量の結果でもあり、本当にほれぼれとしてしまう。
自分も『POV~呪われたフィルム~』で長回しで撮ることに挑戦したけど、既に存在している建造物の中で撮ろうとすると、そこに合わせて脚本を書き直し、芝居を組み直し、撮影の仕方も変えていかないとならないから、監督としては色々とストレスがかかった。
でも、撮影予定の場所で脚本に沿って芝居をガッチリとリハーサルして、それに合わせて塹壕を掘り、農家の建物や廃墟と化した町をセットで組んだという作り方はまさに理想で素晴らしいの一言。
豊富な映像特典を含めてしばらくは愛視聴版になりそうです。