大林宣彦監督、ありがとうございました。どうぞごゆっくりお休みください。
演劇少女だった家内は映画にあまり興味がなかったが、付き合い始めの頃に『転校生』、『時をかける少女』を無理に見せたら、『さびしんぼう』公開時には「一緒に行こう」と向こうから誘ってきた。
そして鑑賞後に、「富田靖子が可愛い!」と連発する彼女を見て、「この人は随分と変わったな」と嬉しくなった。
まあ、のろけ話だけど、大林宣彦監督がいなければ家内と結婚することもなかったかもしれない。
訃報から一晩経って、やっと気持ちが少し落ち着いた。
今までありがとうございました。どうぞゆっくりお休みください。
追記。
トラックが追いかけてくるだけの『激突!』や、少女がゲロ吐いたり、首が360度回転したりする『エクソシスト』などのハリウッド映画を観て、「映画ってスゲぇ! 自分も作ってみてぇ!」と考え始めた中学生が、「キネマ旬報」とかを読んだら日本のベテラン映画人が「映画は人間描写だ」的な事をいっぱい語っていて、「わぁ、日本映画は高尚すぎる。自分には無理かも…」と意気消沈していたときに現れたのが大林宣彦監督でしたね。
「映画の芝居は棒読みで良いのです」とか平気でおっしゃる方でしたから「おお!」と感激したものでした。
でも、『HOUSE』から『狙われた学園』までは付いていけなくて、心底面白いと思ったのは『転校生』からでしたね。
『HOUSE』の面白さを理解できたのはだいぶ経ってからでしたね。
日本映画がじり貧状態になっていた70年代、映画に興味を持った若者たちに勇気を与えてくれたのが、大林宣彦監督でしたね。
心よりご冥福をお祈りします。