寝言

DC版収録『ブリキの太鼓』Blu-rayが凄すぎる!

な、なんと!
『ブリキの太鼓』と『怪奇な恋の物語』のBlu-rayを頂いてしまった!
ニューラインさんとハピネットさんに深く感謝!!
『ブリキの太鼓』のオスカルが悲鳴?をあげるとガラスが割れるくだりは『リング0』で貞子が悲鳴をあげるとライトや鏡が割れるシーンで大いに参考にさせていただきました。
142分の劇場公開版と、163分のディレクターズ・カット版を収録。しかも、テレビ朝日で放映された際の日本語吹き替え音声も収録。

特典のフォルカー・シュレンドルフ監督のインタビューによると、当初、163分で完成させて原作のギュンター・グラスも大満足の出来だったが、試写で映画会社の役員達が「長すぎる! 切れ!」と言ってきたので仕方なくカット。

ところが、カンヌ映画祭でパルムドールを受賞したので映画会社に「元の長い版を作らせて欲しい」と願い出たら「ダメだ!」の一言だったそうな。

なぜかというと、「現在の142分版が未完成版と思われるのは困る」という理由。しかも、シュレンドルフは「本当はもっと長かったとは口外しない」という書面にサインもさせられたとのこと。

『この世界の片隅に』が評価されたので、監督の希望に添って『この世界のさらにいくつもの片隅に』を作ったのとはまるで逆の映画会社の対応に唖然としましたね。

しかも、シュレンドルフによるとこの映画会社がユナイテッド・アーティストだったというのでさらに唖然。

1979年のカンヌ映画祭は『地獄の黙示録』と『ブリキの太鼓』がパルムドールをダブル受賞するという異例の事態になったのだけど、『地獄の黙示録』も欧米ではユナイテッド・アーティスト配給作品で、こちらは当初からコッポラの要望で結末の違う70ミリ版と35ミリ版の2パターンの公開が認められていた。

たぶん、大ヒット作のないフォルカー・シュレンドルフ作品は冷遇して、『ゴッドファーザー』で当時世界興収ナンバーワンの監督になっていたコッポラは優遇するというユナイテッド・アーティストの忖度があったのでしょうね。

しかし、ユナイトはその後、『ディア・ハンター』で賞を総なめにしてヒットもさせたマイケル・チミノ監督の完全主義に振り回された『天国の門』で大失敗して倒産。

シュレンドルフは「いい気味だ」と思ったんじゃないかしらね。

過去の実績だけで作家にお金を投資するのは間違いであるという好例です。お金を出す側も作家としっかり向き合って、作品を育てていくべきです。

話が長くなりました。

『ブリキの太鼓』のBlu-rayが色々とあまりに素晴らしいのでつい興奮してしまいました。
映画好きならば買って損のないディスクだと思います。

『怪奇な恋の物語』はこれから堪能させていただきます。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000311.000031422.html
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