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西条みつとし監督&劇団TAIYO MAGIC FILMの短編『JURI』、惜しい大傑作!

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭「短編上映作品1」で『春』、『JURI』、『メイリンの決めたこと』の3作品鑑賞。
どれも魅力的だったのだが、『JURI』がどんでん返しが連打するホラー風作品で素直に面白かった。虚構と現実が交錯する物語は非常に巧妙に作られていて感心することしきり。
 
……なのだが、映像ドラマは虚構であるという根本を突き詰めることなく終わってしまうので、作り手が現実と考えているオチが観客にとっては虚構に受け取れる曖昧さを孕んでいて、この点が非常に残念だった。
 
西条みつとし監督のことも、その劇団TAIYO MAGIC FILMのことも存じ上げなかったのだが、映画を作るのはじめてとのことで、仕方がなかったかもしれない。
 
しかし、黒澤明監督が『素晴らしき日曜日で』で「どうか皆さんも拍手で応援してください」と主人公から観客に語りかけさせたり、ジャン=リュック・ゴダール監督が『ウィークエンド』で主人公に「映画とは言え、これはやり過ぎだ」と言わせて虚構と現実の垣根を取り払おうとしたり、黒沢清監督がTVオムニバス『愛と不思議と恐怖の物語』の『タイプスリップ』で作品の内容に沿って映像が作為を行うことで、虚構が現実性を帯びてしまう映画的可笑しさを描いていたりしたのを観てしまった身としては、この『JURI』の脚本には映画らしさが欠けている。逆に言えば、それがあったら相当な傑作になったのではないかとも思う。
この監督と仲間の皆さんには次回作に大いに期待したい。
 
実は、本作の撮影&照明コンビの神田創&丸山和志は、自作『悪霊病棟』、『Z-ゼット-』、そして中国映画を撮ってくれている未来の日本映画を支える若手コンビでした。
そんなわけで、『JURI』チームとは初対面だったのに、親近感がわいて失礼ながらも私を中心としたグループショットを撮影させていただきました。
http://www.skipcity-dcf.jp/films/japanese_short01.html#js_02IMG_5459
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