回想録 鶴田が語る、ほん怖のあれこれ
Episode8 ビデオ版『ほん怖』の一作目は破格のヒットとなった。

 しかし、発売をしてみるとそんな不安などものともせずにビデオ『ほん怖』は約7千本のヒットとなった。レンタル店での回転率も高かった。無名キャストで心霊現象をリアルに描くことに特化したコンセプトが評価されたようだった。7千本と聞いても大した数字に聞こえないかも知れないが『ほん怖』の製作費は約1千万円だったのに対して、売り上げは6千万円以上だったはずだ。他のオリジナル・ビデオ作品は5〜6千万円の製作費で1万本売れてヒットと呼ばれていたので、それから考えると『ほん怖』は破格のヒットだった。当然、JHVは大変に喜んでくれて、直ぐにパート2を作ることになった。そして、ビデオ『ほん怖』中で最も評価が高い『霊のうごめく家』が収録された『ほんとにあった怖い話/第二夜』が1992年1月に発売、そして清水崇監督が米国版『THE JUON/呪怨』で演出を真似た『踊り場の友だち』が収録される『新ほんとにあった怖い話/幽幻界』が同年7月に発売された。残念ながら、ビデオ版はバブル景気崩壊の中でJHVの会社的な方針転換により3作で終わってしまった。しかし、これらの結果が1999年からのフジテレビ『ほん怖』に繋がった。

(続)