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追悼:楳図かずお先生。映画『おろち』の思い出。

映画『おろち』では準備段階から完成後の宣伝までの間に楳図かずお先生と何度もお会いし、お話をさせて頂きました。 完成試写が終わった瞬間に拍手をしてくださり、しかも「これは自作の最初の映画化です」とまで賞賛を頂き、関係者一同、本当に胸をなで下ろしました。あの瞬間は忘れられません。 その後、「キネマ旬報」で映画のPRの為に対談をさせて頂いたのも大切な思い出です。 「なにか思いついても、筆がうまく進まない方が面白い話しが出来るんだよ。通じないものを通じさせようとするのが創作だから」とおっしゃっていたのが特に印象深いです。 このお言葉は、現在、『恐怖コレクター』などの小説を佐東みどりと執筆しているときの励みになっています。
映画『おろち』は公開時よりも今の方が海外を含めて高い評価を得ている感触があります。
本作は「楳図かずお映画の最高傑作を作ろう」と企画した佐藤現プロデューサーと、その意をくんで脚本に取り組んだ高橋洋氏の熱意で始まりました。
私は脚本の第1稿がアップした段階で、そのコンセプトに賛同して参加しました。監督として最大限の努力をしましたが、本作の優れた点のほとんどは佐藤現氏と高橋洋氏のお力によります。
更に「楳図かずお映画の最高傑作を作ろう」という目標に乗ってくださった木村佳乃さん、中越典子さん、谷村美月さんの他、スタッフも同様に熱意を注ぎ、それが結実したのが映画『おろち』でした。
とにもかくにも、楳図かずおという日本が誇る希代の作家と、その傑作漫画があったからこそ生まれた映画でした。
楳図かずお先生の訃報を知り、以上を記させて頂きました。
あらためて心よりご冥福をお祈りさせて頂きます。
楳図先生、ありがとうございました。追記:

映画『おろち』では、原作に登場する階段をなるべく再現しようと東映東京撮影所に大きなセットを組みました。 楳図先生が訪れて大変に喜んでいらしたのも忘れられないです。
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