寝言

金子修介監督、港岳彦脚本『ゴールド・ボーイ』は、劇場で観るべき一級のサスペンス映画!

金子修介監督、港岳彦脚本『ゴールド・ボーイ』鑑賞。
様々な所で、色々な方々が絶賛しているので、もはや私ごときが語ることは何も無いです。とにかく素晴らしい傑作!
分かりづらい賞賛とは思いますが、鑑賞直後、昔、フィレンツェのサン・マルコ美術館でフラ・アンジェリコの見事な作品の数々を鑑賞したことを思い出しました。アンジェリコの絵はとても端正で緻密なので驚嘆するしかないのですが、それくらいしっかり作られた一級のサスペンス映画でした。
ただし、本作が中国の原作小説であり、中国資本で作られていることで、ふと思った事があります。
中国は家族や血のつながりを大事にするし、国民の1人1人は社会の閉塞感に折り合いを付けて生活をしていると、『戦慄のリンク』の仕事を通して感じました。
本作の原作は未読ですが、それがあるから成立したサスペンスなので金子監督が悩んだ結果として、沖縄を舞台にしたのは大正解だと思います。
実は、現在各地で公開中の太田隆文監督『沖縄狂想曲』を観て、関東育ちの自分には沖縄に住む方々が日頃感じていることをどう受け止めれば良いのか悩んでしまったのです。
『ゴールド・ボーイ』は、そういう政治的側面を描いた作品ではないのですけど、台詞が沖縄弁ではないことで、沖縄弁がエキゾチックに感じられて魅力的だった傑作『ナビィの恋』などとは違って、逆に沖縄を身近に感じる事が出来た気がします。その意味でも必見だと思います。
それと、もし本作が純正日本映画だった場合、沖縄全編ロケという監督の希望が受け入れてもらえたのだろうか、という疑問もちょっと湧きました。
いずれにしても、作品は見事な傑作なので、是非、劇場で観るべきです。
https://gold-boy.com/
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