寝言

ポッドキャスト「ラジオポトフ」が『悪霊怪談 呪われた美女たち』を紹介!

なんと! 1995年の自作『悪霊怪談 呪われた美女たち』を紹介してくださっている!
「茶番劇的なおもしろさ」と微妙な賞賛を頂きましたが、それでも嬉しいです。
評価の高い4話目『心霊ビデオ』は、自分の実体験を膨らませて物語にした私のオリジナルです。それを脚本家に渡して本にしてもらいました。
ビデオを再生する度にモニター画面の端に見切れて立っている「髪の長い赤い服の女」が段々に近づいてきて、最後はその女が目の前に現れて……と言う内容です。
もう一度、製作年度を書きます。1995年です。
で、1998年に公開された『リング』の脚本家、高橋洋さんは、「参考にさせてもらいました」とおっしゃってました。
そうおっしゃって頂けて、溜飲が下がりましたけど、正直、『リング』をはじめて見た時、「むむっ」と思ったのも事実です
「髪の長い赤い服の女」もOV版『ほん怖/第二夜』の『夏の体育館』で私が描いたのが最初のはずなんですが、いつの間にか黒沢清監督の幽霊アイコンみたいになってるし……
まあ、高橋さんも、黒沢さんも「鶴田監督に影響を受けました」とおっしゃってくれていて、そのおかげで私も活躍してこられたので感謝してます。
なお、『悪霊怪談 呪われた美女たち』は、1990年代の半ば頃、あちこちに店舗があった「ビデオ安売り王」から依頼を受けて製作した作品でした。
その時のタイトルは『GIRI GIRI GIRLS in 超・恐怖体験』。1巻30分、1,980円を5巻構成でバラ売りするという企画でした。
「ビデオ安売り王」は非常に評判の悪い会社で、予算も潤沢ではなく、依頼を受けてから納品まで約3ヶ月しかなかったのを覚えています。当初は躊躇しましたが、当時の自分は仕事を選んでいる余裕はありませんでしたから引き受けたわけです。
しかし、予算も時間も無いので原作物の映像化は不可能で、オリジナルでストーリーを考えないとならいのが大きなネックでした。
しかし、前年の1994年に雑誌「ムー」の読者投稿を映像化した『戦慄のムー体験』という作品を作ったときに、三日三晩ほぼ徹夜でビデオ編集室で一人で編集している時に、奇妙な体験をしたのを思いだしたのです。
ビデオの中の人影が再生する度に不気味に蠢いたのです。
まあ、これは幻覚だったわけですが、あの時の深夜のビデオ編集室の恐怖は強烈でした。それを思い出したのです。
そこで、その体験を基に、詳細なプロットを書き、それを当時、何本も一緒に仕事をしていた脚本家に渡して本にしてもらったわけです。
それ以外の物語は、後に「××理論」とかいう言葉で名が知れる、その脚本家に任せました。
話がそれますが、私はその脚本家さんには当然、様々な相談をしましたから感謝しております。しかし、『邪願霊』の石井てるよし監督や私が現場で苦労してあみだした恐怖演出を、ご自分があみだしたかのように語るのはどうかと思っています。Jホラーの恐怖演出の基本は、私や石井監督の創意と工夫があったからこそ生まれたものであり、「××理論」というのはそれを言語化したに過ぎないはずなのです。
閑話休題。
とにかく、短い製作期間、少ない予算、厳しい条件でしたが、『GIRI GIRI GIRLS in 超・恐怖体験』は無事に完成して発売されました。
しかし、その直後に「ビデオ安売り王」が倒産。
作品がお蔵入りになってしまうのは残念なので、OV『ほんとにあった怖い話』シリーズを製作したジャパンホームビデオに働きかけて5巻バラ売りされた作品を1本の話に再編集して再発出来ることになったわけです。
その時のタイトルが『悪霊怪談 呪われた美女たち』でした。
紆余曲折あった作品でしたが、自分の体験を基に作った4話目『心霊ビデオ』を、後に『CURE』、『回路』を発表する黒沢清監督や、やはり後に『リング』の脚本を書く高橋洋氏が、雑誌などで高く評価した評を書いてくれて嬉しかったのを今でも覚えています。
当時は、黒沢監督、高橋さんらとお付き合いはほとんどなかったので、本当にありがたかったです。
そんなことを思い出しました。長々と失礼しました。


【最新回紹介・第109回】人気映画『呪詛』に触発された今田がおすすめJホラー『悪霊怪談 呪われた美女たち』を紹介する15分。しっかり怖いシーンもあれば、今田が愛好する「茶番劇的なおもしろさ」もたっぷり。
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