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『リング0』の恐怖演出で参考にした『墜落大空港』のBD発売!

先日、メーカーのニューラインさんから届いた荷物を開けたら、『墜落大空港』の商品見本が入っていてビックリ!
本作の特典豊富なBDが出る日が来るとは思わず感涙視聴。
『欲望』、『サスペリアPART2』主演、クーデター映画の最高峰の大傑作『パワープレイ』では自分は準主演にまわり、ピーター・オトゥール主演で製作、そして監督としては『別れのクリスマス』でベルリン映画祭監督賞を受賞し、デヴィッド・ボウイ、マレーネ・ディートリッヒ共演の『ジャスト・ア・ジゴロ』などを手がけたイギリス映画界の超才人デヴィッド・ヘミングスが監督のみに徹した隠れた逸品。
日本では劇場未公開でテレビ東京「木曜洋画劇場」でいきなり放映。しかも、邦題から察しが付くように航空パニック映画として放映されたので、視聴者はキツネにつままれたようになってしまい全く不評をかった不幸な作品。
でも、実は、心霊ホラーの先駆け的作品なのです。
白状すると、作品中盤の墓地に出る少女の幽霊描写は、『リング0』のクライマックスで貞子が森まで追ってきた劇団員を呪い殺すシーンでかなり参考にしてます。『予言』も本作の影響があります。
でも、製作された1981年当時は世界的に不評で監督のデヴィッド・ヘミングスはこの後、テレビ界に身を転じてしまいました。
不評だった要因は、英国を代表するホラー作家、ジェームズ・ハーバードの原作がスプラッタ描写満載だったのに、映画化では『ローズマリーの赤ちゃん』や『たたり』を意識したホラーにしたためのようですね。このBDの豊富な特典でプロデューサーが明かしておりました。当時は『13金』などの残酷描写満載ホラーが大ヒットしていた時代でしたから、観客が求めていたものと違ってしまったのでしょう。
でも、デヴィッド・ヘミングスの雰囲気重視の恐怖演出は的確だし、幽霊描写も当時としては非常に洗練されています。
本作が歴史に埋もれてしまい、デヴィッド・ヘミングスの監督人生を狂わせてしまった可能性があると思うととても残念です。
それはさておき、このBDの特典が実に素晴らしくて、後にハリウッドに進出して『レインマン』、『ハリー・ポッターと賢者の石』、最近だと『マッド・マックス 怒りのデスロード』を撮る撮影ジョン・シールの2007年のインタビューや、1981年の撮影中のジョセフ・コットン、ロバート・パウエル、ジェニー・アガターらのインタビューなどの貴重な映像が多数収められているし、ちゃんと日本語字幕も付いているので本当に見応えがありました。
特に、デヴィッド・ヘミングスが本作の撮影で訪れていたオーストラリアで出演したであろうテレビ番組がまるまる入っていて、これがムチャクチャ傑作でしたね。ヘミングスの語りが面白いし、達者なマジシャンの技に唖然として、久しぶりに声を出して笑ってしまいました。この人が2003年に62歳で心臓発作で亡くなってしまったのが本当に残念でなりません。もっともっと評価されるべき優れた映画人だと思います。
なお、本作についてもう一つ特筆しておきたいのは、脚本がデヴィッド・アンブローズであること。
私が奔走して国内DVD発売を実現させた『第3の選択』(現・廃盤)の脚本家です。『ファイナル・カウントダウン』、『イヤー・オブ・ザ・ガン』などの本も書いてますが、この人ももっともっともっと評価されるべきと思います。
それと、もう一つ記しますが、本作は墜落した旅客機の機長だけがただ1人生き残ってしまいその周囲で怪異が起きるという物語ですけど、この数年後に、『ナイト・オブ・ザ・コメット』のトム・エバーハート監督が旅客機墜落事故でただ1人生き残った女性が怖い目に遭うという『ソウル・サバイバー』という作品を作っています。
『墜落大空港』の原題は「THE SURVIVOR」なので混同されることが多いのですが、こちらもかなり優れた心霊ホラーらしいです。
「らしい」というのは、私は残念ながら未見だからなのですが、ニューラインさんには『ソウル・サバイバー』も出してもらえないかと期待をしてしまいます。
以上、長文になり失礼しました。
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