寝言

ワンカットなのに「無駄な間」が一切無い驚異の映画『1917』、凄い!

芝居が一区切り付くポイントで塹壕が途切れたり、絶妙のタイミングで泥水が溜まった砲弾痕が現れ雰囲気が一変したり、絶好の位置に馬や人間の死体が転がっていたり、見事なキッカケで物陰から人が出てきたり等など、全部、入念なリハーサルを繰り返してから造られたオープンセットだったんですね。

御年70歳過ぎの巨匠カメラマン、ロジャー・ディーキンズと、伝説のカメラマン、故コンラッド・ホールの撮影だった『アメリカン・ビューティー』から映画を撮り始めた演出家サム・メンデスだから出来た非常に高度な技ですね。

このメイキングの中でディーキンズが「やり始めてから気付いたんだが、カメラが360度回るから照明が組めないんだよ」と正直に答えているけど、ワンカットで撮ろうとすると照明を組めないので機材も人件費も削減できるメリットがある。だから、「ワンカットで撮りました!」を売りにする低予算映画も多数あるわけです。
作品名は記しませんよ……
でも、それはロケ場所に合わせて無理矢理芝居を作ったり、カメラを動かしたりするからやはり「無駄な間」が出来たりするわけです。

でも、この『1917』は、芝居に合わせて塹壕や廃墟の町のオープンセットを組んでいるから、そういう無駄が一瞬たりとも無い。

おそらく、鬼才カメラマン、エマニエル・ルベツキがものした『トゥモロー・ワールド』、『ゼロ・グラヴィティ』、『バードマン』などの長回し映画を相当に研究したんでしょうね。もちろん、日本の相米慎二監督作品なども研究してから取りかかったんでしょうね。

凄いなぁ。役者が無名だからキャスト費は掛かってないのでしょうけど、総製作費100億円くらいは掛かってるんでしょうね。
と感心していたら、300万円で作った『カメラを止めるな!』の前半37分ワンカットも無駄が無かったと思い出して、あらためて上田慎一郎監督おそるべし、と思うのでした

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