寝言

「日本のドラマがつまらなくなった理由」は芸能事務所ではなく一部のテレビ局の問題。

「現代ビジネス」のノンフィクション・ライター、田崎健太氏の記事を読んだ。違和感を覚えた点もあるが、まさにその通りと思う点もあった。
祖父が重役だった映画会社・大映が倒産した要因として看板スター、市川雷蔵の早世が語られる事がある。映画全盛期の頃からスターがヒット作品を生み映画会社の経営を左右してきた。それゆえに日本に限らず世界で多数のスター映画が作られてきた。
また大映には「大映レコード」という音楽会社があり「およしなさいよ~♪ 無駄なこと~♪」の歌詞で知られる「座頭市の主題歌」を雷蔵と共に大映を支えたスター、勝新太郎自身が歌ってレコードも大きな収益を上げた。それらが文化や芸術の発展に寄与もした。
だから、人気役者を抱える芸能事務所に根本的な問題があると受け取れるこの記事には違和感を禁じ得ない。
それよりも根本的な問題を作ったのは、作品作りの一つの方法論である「スター作品」を常態化させてしまった一部のテレビ局側にあるだろう。しかもそういう局は作家を軽視し無理難題を押しつけてくる。
記事中で「近年は、テレビ局側が監督、脚本家の作家性を薄くしようとする傾向がある」と高名な脚本家さんがおっしゃってくださったのに胸がすく。
一方、低視聴率ドラマの敗因は主演俳優にあるとするエンタメ記事も頻繁に目にする。これでは役者さんが可哀想だ。なによりもテレビ局が責任回避をしているようにも思える。
もちろん、作家を大切にし、自分が責任を背負ってしっかりした作品を作ろうと努力されているテレビ局もプロデューサーも多数いらっしゃる。
結局、「企画のしっかりした優れたテレビドラマ」が視聴者を楽しませ、かかわるスタッフ、キャスト、そしてプロデューサーもテレビ局もハッピーにする。
逆に言うと、視聴率を取ったところで、作品がしっかりしていなければ、みんながハッピーになれるわけではない。
そこを勘違いしてしまっているテレビ関係者が居るのは確かだ。
と、この記事を読みながら残念感がわき上がった。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52620

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52620

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52620