回想録 鶴田が語る、ほん怖のあれこれ
Episode3 全ては20年前に帰宅する電車の中での思いつき。

 今のところ映画版『ほん怖』は実現していないし、諦めてもいない。だが、フジテレビのゴールデンタイムでこれだけの期間継続していることは『ほん怖』にとっては大きな力になっている。そして、もちろん私にとっても。
 私の監督デビュー作は1991年に発売されたビデオ『ほんとにあった怖い話』であり、それは“Jホラー”の原点と言われている。それから18年間、どうにか監督を続けていられるのは『ほん怖』のお陰だ。そもそも巷で“Jホラー”、または“心霊ホラー”と呼ばれるようになった作品を作ってみようと思ったのは、私がまだスーツ姿で会社勤めをしていた20年前にさかのぼる。帰宅するために乗った電車の中で、ふと「林間学校や臨海学校の夜に級友たちと語り合った怪談話を映像化したら面白いのではないか」と思いついたのがきっかけだった。

(続)